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このインフレ・サイクルの勝者・敗者:ジェレミー・シーゲル
2021年4月22日

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、予想するインフレ上昇における損得勘定を説明し、誰が勝者で誰が敗者かを指摘している。


強気相場は続いており、刺激策が講じられ、マネーがあり、莫大な流動性がある。
昨年のマネーサプライ増加は米史上最大だったと指摘した。
今年もそれが市場と経済に力を与え続けるだろう。

シーゲル教授がBloombergで、米国株市場の強気相場が継続していると話した。
小さな戻し(pullback、5%)ぐらいはあるとしながらも、上昇トレンドが続くという。
調整(correction、20%未満)ということばでなく戻しという言葉を使うところに、足元に対する強気なスタンスが見て取れる。

株式とは実物資産だ。
株式は資本への請求権であり、工場、設備、商標、著作権、知的財産権への求償権だ。
これらはほどほどのインフレ環境において良好なパフォーマンスを上げる。

シーゲル教授の見方に以前からの大きな変化は見られない。
以下、ポイントごとの発言内容。

  • インフレ: FRBの予想よりはるかに高いインフレになる。
    4-5%が2-3年続くだろう。
  • 長期金利: 足元は低下しているがトレンドは「間違いなく上昇」。
    「今年間違いなく2.0%を超え、2.5%、来年には3.0-3.5%に上昇するだろう。」
  • 債券: インフレの付けを払うのは債券保有者。
  • クレジット: 好景気・有利な資金調達でデフォルト・リスクは低下。

シーゲル教授は、インフレ上昇が生み出すステイクホルダー間の損得勘定を端的に指摘する。

企業は減価するドルで返済することとなり、このインフレ・サイクルにおける勝者になるかもしれない。
債券保有者が付けを払うことになるだろう。

シーゲル教授は、米企業が強い価格決定力を有している点を重視する。
言い換えれば、米企業は容易にコスト増を顧客に売価引き上げで転嫁できるのだ。
だから、ほどほどのインフレでは米企業の痛みは大きくならない。

シーゲル教授は米企業の借金や利益の使い道を尋ねられ、今後起こるであろうことを予想した。

  • 借金返済: 長期低金利で調達したら、それを返済するべきではない。
  • 自社株買い: 税務上有利。
  • 配当増: 自社株買いよりは税務上不利。
  • 事業投資: 実体経済で需要が増えている。

つまり、借金返済以外が選択されやすいという。
いずれも、業績がついてくる限りは株式に有利な選択肢だ。
シーゲル教授の話にはなかなか株式に対して弱気にさせる材料が出てこない。
今回、唯一そうした話題になったのは、株式もまたインフレの付けを払うことがありうるというくだりだった。

FRBがインフレ抑制のために金融引き締めするまでは、株式保有者は付けを払うことはない。
その時期は現時点で見通せないほど先だ。


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