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いつやるか?今でしょ!:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏は、米インフレが上昇する兆候がすでに見られるとして、現状維持を決めたFRBの政策を批判した。


予想通りだった。
FRBは単に見通しを上方修正しただけで、政策については何もしなかった。
これは誤りだ。・・・
急ブレーキを踏むべきではないが、もしも今ゆっくりブレーキを踏まないなら、いつやるのか。

エラリアン氏がCNNで、今週のFOMCでの決定を批判した。
同氏は、足元のインフレを一過性のものとするFRBの見方に疑問を呈している。
公共・民間における需要増大、歴史的に緩和的な金融環境といったインフレ要因が存在し、現実にインフレ兆候が見られ始めていると指摘した。
国を二分しているインフレ論争において、エラリアン氏は、インフレ昂進の可能性ありと考えていることになる。 

エラリアン氏は、FRBが動かない理由を2つ挙げている。
1つは市場の混乱を避けたいためだ。
2018年第4四半期に市場が大きく調整し、翌年1月にFRBが無様な方向転換を強いられたのは記憶に新しい。
もう1つは、FRBが見通しベースから実績ベースへ判断の基準を変更したことだ。
以前のように見通しに基づきインフレを予防することをやめ、実際にインフレが来てから行動するというものだ。
これについてエラリアン氏は少々きつい言葉で批判している。

この変更の理由はもはや有効ではなくなっている。
パンデミック前には有効だったが、パンデミックは需要側・供給側の両方を大きく変化させた。
今やFRBは、目的は良いがもう経済の現実に適していない枠組みに囚われている。

パンデミック前まで、米国はインフレを生み出すことに苦戦していた。
インフレになりにくい環境だから、なるべく長く金融緩和を続けたかったし、そうすることのリスクもさほど高くなかった。
しかし、パンデミックは状況を変えた。
需要面では、公共・民間の両方で増大が見込まれ、今年ほどでなくとも来年以降もインフラ投資は続く。
供給面では、脱グローバル化などにともなうサプライチェーンの混乱で、供給制約が存在する。
そこに、すでに行われた、あるいはこれから行われる金融・財政政策の要因が加わる。
これが、インフレを巡る状況を変化させた可能性があるのではないか。
この是非が今さかんに議論されている。

FRBがインフレに無頓着になっても、すぐさま高インフレということはないのかもしれない。
しかし、すぐに変化しうる価格も世の中には存在する。

私たちは、大量の流動性が溢れ過剰なリスクテイクが広まりやすい世界にいる。
無責任なリスクテイクが広まる可能性が高い。

たとえ消費者物価のインフレが問題とならなくても、資産価格のインフレは問題になりうる。
資産インフレが金融不安定につながりうることは誰もが知っている。
現状を悲劇につなげないための経路とは何だろう。
インフレを避けつつも、経済を成長させ、資産価格を正当化していくことだろう。

エラリアン氏は、当然かつ正統的な答を示している。

供給側の制約を解き放ち、生産性を高める必要がある。
さもないと、許容できない低成長での均衡に逆戻りしてしまう。
今本当に奨励されるべきは、橋・道路などの物理的インフラ、技術的なインフラだけでなく、教育や保育など人的なインフラへの投資を可能にすることだ。
これらはより多くの人に生産性の高い労働参加を促すことになる。


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