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いつか市場は気づく:ケネス・ロゴフ
2020年10月8日

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、株式市場と実体経済の乖離の原因を4つ挙げ、市場の楽観に危機感をにじませている。


なぜ、実体経済がこうも脆弱なままなのに、株式市場のバリュエーションは上昇しているのか?

ロゴフ教授がProject Syndicateで、果敢にも市場バリュエーションのテーマについて論じている。
教授は、部分的な正解を3つ挙げる。

  • 株価とはフォワードルッキングなもの。
  • FRBのゼロ金利政策。
  • FRBの「私募債市場」の直接支援(疑似財政政策)。

教授はそれぞれ一理あるとしながら、市場がそれぞれについて過信している可能性についても言及している。
第2波やワクチン開発について楽観しすぎていないか。
供給側の制約からインフレが進めば、利上げされるのではないか。
「疑似財政政策」はあくまで一時的な手段なのではないか。
つまり、この3点だけで現在の株価バリュエーションを説明できているかは疑問だ。
ロゴフ教授は、4つ目の理由、そして大きな社会問題を説明する。

コロナウィルスにより与えられる経済的苦痛は上場企業が負っているわけではない。
(製造業に寄った)株式市場に上場していない中小企業やサービス業の個人事業主(クリーニング、レストラン、娯楽)に降りかかっている。
これら小規模な事業者は、この期間・規模のショックを生き抜くのに必要な資本を持っていない。

ロゴフ教授は、コロナ・ショックの打撃がもっぱら小規模事業者、そして労働者に厳しく向かったとし、その様子が税収に表れているという。
記録的な失業率悪化のわりには税収が落ち込んでいないというのだ。
低所得者層で雇用が大きく失われたためだという。

ロゴフ教授によれば、破綻した大企業の中にはコロナ前から問題を抱えていたところも多いという。
小規模企業にもコロナ前から問題を抱えていたところは多いだろうが、そうでないところも体力の差からコロナ・ショックで容易に廃業に追い込まれてしまう。
実体経済で寡占が進みかねないのだという。
そして、苦戦する小規模事業者への支援策が、大統領選を前にして期限を迎え、延長されないでいる。

ロゴフ教授のトーンは、使うべきお金を使え、というものだ。
一方で、IMFチーフエコノミストも務めた教授は、投資家に対してバランス感覚のある注意喚起をしている。

ある時点で市場は、納税者がすべてを無期限に負担してくれるという考えが間違いであることに気づくだろう。
中央銀行は最終的には取ることを許容されたリスク量に制約される。
もしもこの冬に厳しい第2波があれば、FRBがまだもっとリスクを取りたがっているという思い込みは是非を試されることになろう。


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