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【Wonkish】ヘッジコストが円高圧力に?

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国内投資家が為替ヘッジ付きで米10年債に投資する場合のヘッジ・コストが再び上昇しているのだという。
こうしたニュースを理解するために必要なのが、ヘッジ・コストの定義と意味合いだ。(浜町SCI)

日銀が空前の金融緩和に踏み出した理由の一つがポートフォリオ・リバランス効果だった。
金融緩和によって投資家の国内資金が海外に向かえば、為替は円安に振れ経済によい影響を与えるといった具合だ。
ところが、ここで一つ障害が立ちはだかる。
それがヘッジ・コストだ。
これについて復習しておこう。


Q1. 国内投資家は何をやってるの?

国内投資家が米10年債に投資しようと思ったとしよう。
日本の10年債利回りがゼロ%、米10年債利回りが2.35%とおくと、為替リスクを考えなければ相当いい投資だ。
しかし、もちろん為替リスクがあるので、特に機関投資家ともなればそれを放置するわけにはいかない。
そこで行うのが為替ヘッジだ。

仮に10年の先渡しレートを出してくれる銀行があっても途方もないスプレッドを抜かれてしまう。
現実的なのは、短期の先渡しレートまたは短期の先物を取っておくことだ。
(概ね1-3か月と言われている。)
そして、それらが期限を迎えるごとに再びヘッジを繰り返すのである。
つまり、投資対象は長期債だが、為替ヘッジは短期をロールしているのだ。


Q2. ヘッジ・コストの定義・計算法とは?

ヘッジ・コストの定義は簡単だ。
投資家が為替ヘッジに用いた先渡しまたは先物レートとその時点での直物為替レートとの差(直先スプレッド)のことだ。
この差と期限から金利の形で表示し、年率換算したものである。
市場全体の数字も同様の考え方から計算できる。

Q3. ヘッジ・コストの変動要因は?

ヘッジ・コストが発生・変動する要因は主に2つと説明される。
ドル円で説明すると
・日米金利差
・資金需給

日米金利差は理解しやすいだろう。
例えば1か月ないし3か月LIBORで見て、その金利差のことだ。
ここで多くの人が疑問を持つはずだ。
金利パリティが成立しているなら、ヘッジ・コスト(≒直先スプレッド)は金利差で説明がつくはずだ。
ところが、この話では金利差以外に「資金需給」によるヘッジ・コストが存在するという。

ざっくり言うなら、種は金利差で使う金利にある。
為替市場は投資家にとってアクセスしやすい市場だが、資金のやりとりはそうでもない。
LIBORフラット(あるいはTIBORでも)にいつでもアクセスできる投資家は(邦銀も含めて)そう多くない。
現状で言うなら、国内投資家がドルLIBORで資金調達しようとすれば、プレミアムを支払わなければならない。
ドルの出し手の方が取り手より優位にあるからだ。
ヘッジ・コストの一部をドル資金についてのジャパン・プレミアムと呼ぶことがあるのはこのためであり、だからこそヘッジ・コストが上昇した時に騒がれるのである。

(次ページ: 為替への影響)


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