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【輪郭】迷宮はここから始まった
2021年10月14日

ブリッジウォーター・アソシエイツのグレッグ・ジェンセンCIOについての最近のFP記事を読んでいて、久しぶりにレイ・ダリオ氏の最初のビデオを見直さないといけないと感じた。(浜町SCI 2021年10月13日)


(ジェンセン氏関連記事)
リスク・ヘッジすべきリスクが違っている: ブリッジウォーター
これは運命だ:ブリッジウォーター

ダリオ氏は2013年「30分で判る 経済の仕組み」と題するビデオを公表し、翌年には日本語版も公表された。
そして、同氏はプリンシプルズにしたがい、しつこくしつこくこの概念を説明したのだ。
これが公表された当初、市場内外で様々な反応があった。
ビデオのメッセージ自体はもっともなものだったが、なぜ今更このテーマのビデオなのか。
ビデオの説明の仕方は、経済学を知っている者ほど不慣れを感じるスタイルだった。
なぜ、この説明の仕方なのか。

当時、経済政策(当時は金融政策一辺倒だった)に関して、用いるべき経済モデルについて大きな議論があった。
政策決定者が用いる経済モデルにおいて、あまりにも金融機関の存在が小さかったのだ。
金融経済が実体経済を凌駕しているとの認識がある中で、多くの経済モデルにおける金融機関の取り扱いは摩擦+α程度のものだった。
ダリオ氏の語ったモデルは、まさに金融市場を中心に据えたモデルといえた。
この点に注目し、ビル・グロス氏は、政策決定者がこのモデルを用いるべきと述べている。

すべてはこのビデオから始まった。
この後、ダリオ氏はいくつかのビデオと書籍を上市しているが、多くがこのゴツゴツしたビデオを説明・補強する面を備えている。
当初、このゴツゴツしたビデオの趣旨を十分に理解した人は少なかったはずだ。
しかし、最近ではブリッジウォーターの他のプロフェッショナルの露出も増え、かなりヒントも増えてきた。
また、世界がダリオ氏の思い描いていた方向に実際に進んだ面もある。

ブリッジウォーターという組織はプリンシプルズに基づき徹底的なチーム・ビルディングをする組織だ。
逆にいえば、異口同音に語られる見通しをどこまで信じるかは聞き手の側に任されるところもある。
それでも、この人たちの意見を知っておくことは有益だろう。

さて、いったんジェンセン氏の記事に戻ろう。
これら記事の中で特に印象的だったところが2つあった。
1つ目は経済政策の変遷に関する意見:

「どんどん金融環境は緩和的になり、財政赤字は拡大している。
私はこれを運命だと思っている。」

経済政策の是非に対する私見は別として、ある方向に政策が向かっていくのが不可避との考えが示されている。

もう1つは、社会における不均衡の解消策についての言及だ。
ジェンセン氏はデフレ的解決(クラッシュ)かインフレ的解決(所得上昇)しかないという。
同氏は後者になるとの意見だが、これがハッピーエンドすぎると感じる人もいるのではないか。

この疑問に対するヒントを与えてくれるのが、ダリオ氏の最初のビデオのように思う。
見直してみると、今だから理解できるようになった部分も多い。
終わりの方に述べられている長期債務サイクルからの回復策のところが重要だ。
やや分量が多くなりすぎたようなので、次の機会に感想をお示ししよう。




山田泰史山田 泰史 横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

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