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【輪郭】経済学が教える合理的選択
2019年11月19日

先日ロバート・シラー教授の講演ビデオを見ていて、素朴に感じたことがある。(浜町SCI)


《リフレ政策に対する人々の合理的選択とはなんだろうか?》

異次元緩和の6年間あまり、私たちはこの問いについて何ら進歩していない。
別にシラー教授がこういったわけではない。
筆者がふと思ったのだ。
シラー教授が言ったのはこんなことだ。

経済学は、人々が合理的行動を選択すると仮定している。
実際には不合理なふるまいを行う人々を無視している。

リフレ政策について考えよう。
名目金利が0%、インフレが0%の中で、経済学者はこう考えた。

《現在はインフレ調整後の実質金利がゼロだ。
インフレを2%にすれば、実質金利は-2%になる。
これは現金(+金利がゼロに近い預金)を保有すれば、毎年2%ずつ損をすることを意味する。
だから、みんなお金を使うはずだ。》

これが経済学者らのいう合理的選択ということになっている。
しかし、結果を見ればそうはならなかった。
経済学者が考えるより人々はもっと合理的だった。

《毎年2%ずつ損をするなら、徹底的に節約をしよう。
毎年2%ずつ切り詰めていけば、金融政策による拷問をオフセットできるはずだ。》

いったいどちらが合理的だろうか。
先に支出することにはリスクがともなう。
それに対して、節約をすることはほぼ無リスクだ。
人々はより合理的で正しい選択をしたのではないか。

ここで話を終われば、経済学者に対してあまりにもアンフェアになろう。
金融緩和の真の目的は金融緩和ではないと主張する人も多いからだ。
金融緩和の目的は円安誘導だというわけだ。

しかし、残念ながら結論はたいして変わらない。
円安は、それで潤う外需産業を支えることはできるが、円安で損をする経済主体(輸入産業や消費者)は割を食う。
所得の分配が変わるだけで、やはり徹底的な節約が選択されることになる。

やはり根本的に何かがおかしい。
日欧は量的緩和とマイナス金利を駆使しても、満足するほどの結果を出せていないように見える。
そうこうしているうちに、リフレ政策の言い出しっぺとも言える米国は(大統領を除いて)マイナス金利をさんざんにこき下ろしている。

もちろん今すぐに金融緩和を巻き戻すことなど不可能だ。
しかし、各国の金融緩和の目的が為替相場にあるなら、過度な金融緩和を修正する可能性はゼロではないだろう。
国際協調の下での各国の同時利上げだ。
残念ながら、こうした難しい時に限って、国際協調しにくい状況が各国を取り巻いている。


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