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【輪郭】上げ相場とリスク・パリティ戦略

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世界経済の好調さが鮮明になり、多くの心配をよそにリスク資産の価格が上昇を続けている。
投資家の中には本来のホーム・グラウンドからよりリスキーな市場に移ってまでアップサイド・ポテンシャルを狙おうとしている。(浜町SCI)


市場の上昇への確信が高まるほどに、投資家はよりリスク・オンへと投資姿勢を改める。
通常なら現預金・高格付債を減らして、得意の投資対象への投資を増やすことになるのだが、それだけにとどまりそうにない。
投資対象の資産クラスの壁を超えてリスク・オンの流れが進んでいる。

Bloombergはハイイールド債ファンドとして今年最優良のパフォーマンスを上げているFidelity Capital & Income Fundの例を紹介している。
フィデリティはこのファンドの戦略をこう設定している:

「株式と債務証券に投資する。
デフォルトした証券を含み、低格付の債務証券に重点を置く。
経営不振・財務状況の不確実性に見舞われた企業に投資する。」

このファンドは今年、株式の構成比を1/5超に増やしており、その効果もあって2桁リターンを上げているのだという。
そして、こうした動きはフィデリティだけではない。

市場の上昇は当面続く見込み

世界の資産クラスを見渡す限り、また、FRBが金融政策正常化を進める限り、さまざまな資産クラスで割高感が感じられるのは否定できない。
しかし、そうした警戒感を市場参加者が広く共有しているがゆえに、市場は緩やかに長く上昇を続ける可能性が出てくる。
熱狂が支配する相場であれば、あっと言う間に市場は上昇し、臨界点を迎えパーティが終わるとともに急落するのだろう。
しかし、熱狂ではなく警戒感が支配する市場では、臨界点がなかなかやってこない可能性がある。
上昇が緩やかである分、幅広い資産クラスに流動性の洪水の効果が及んでいくのだろう。
つまり、今後の市場には下落の可能性もあるが、それ以上に上昇を続ける可能性が高い。

市場上昇のストッパーは働きにくい

仮に上昇を続ける場合、それはいつまで続くのかが問題になる。
それは、何が上げをストップさせるのかと言い換えてもいい。
最も本質的なストッパーは、日米欧で予想外のインフレ昂進が起こる場合だろう。
これは最も政治的に許容されにくい現象であり、中央銀行は自動的に金融引き締めを強化せざるをえなくなる。
それまで中央銀行はギリギリのかじ取りを続けているはずだから、ギリギリから逸脱して引き締めれば市場・景気にははっきりとマイナスの影響が及ぶだろう。

もうひとつのストッパーは資産価格の過熱だ。
しかし、これについてはすでに警戒感と同居した相場であることもあり、かえって相対的に軽視されてしまうかもしれない。
実際これまでも各中央銀行にとって資産価格は優先順位の高い課題ではなかったように見える。
この点が重視されるのは、各中央銀行の物価目標が事実上達成されたと認識された頃からだろう。

つまり、これらのストッパーは物価目標達成までは発動されにくい。
だから日米欧のいずれかの物価目標が達成されたとの宣言を聞くまでは楽観が続きそうだ。

(次ページ: 困惑の中でも規律を保て)