投資

アスワス・ダモダラン 【短信】IT等で投資の何が変わったのか:アスワス・ダモダラン
2023年12月31日

バリュエーション学長の異名をとるアスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、バリュエーションのためのツールとデータの高度化についてコメントしている。


「今が1500年代で、ガラス職人の事業を買おうとしているとする。
彼に尋ねるべき質問は、どれだけキャッシュを受け取り、稼いだかだ。」

ダモダラン教授が、会計による歪みがまだ存在しない大昔のバリュエーションについて想像した。
日銭商売のキャッシュフローは単純明快と言いたいのだろう。
キャッシュフローが見極めやすいなら、成長率とリスクについても見極めやすくなる。
この3つはバリュエーションの主要インプットだ。

現代のバリュエーションはもっと複雑だ。
ただし、ダモダラン教授がここで言いたいのは、バリュエーションされる側の変化ではなく、する側の変化であるようだ。

現在変わったのは、これら数字を推計するための手段・データ・ツールが増えたことだ。
しかし、皮肉なのは、より多くのデータが得られるほど、私たちはファンダメンタルズへの視界を失っている。

ダモダラン教授は銀行のバリュエーションを例に挙げている。
銀行のキャッシュフローは500ものカテゴリー別キャッシュフローの積み上げになるとし、忠実に分析的に合算しようとすれば、全体のストーリーが見えなくなると指摘した。
詳細に計算をすればよいものではないと言いたいのだろう。

もうキャッシュフローを考えているのではなくて、財務モデルを考えているにすぎなくなる。
・・・
持てるツールとデータは変化し続けている。
それは良くなっているのではなく、実際にはただ変化しているだけなんだ。

若い世代は年寄りよりはるかにスキルを身に着けている。
しかし、ダモダラン教授の指摘が正しいなら、年寄りにも勝機があるかもしれない。

筆者が機関投資家に所属していた頃、複数事業を有する企業についてバリュー・ドライバー以外の事業を無視するという取り扱いをすることがあった。
もちろんすべての発行体ではない。
事業ごとの成長率等の差が大きいような場合で、今でも行われていると思う。
こうしたやり方は、コングロマリット・ディスカウントを織り込むような効果があって、決して軽んじることのできないやり方だった。
スキルがないゆえにこういうやり方をするのも、ありえるかもしれない。


-投資
-, ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 本サイトでは、オンライン書店などのアフィリエイト・リンクを含むページがあります。 その他利用規約をご覧ください。