グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏が、11日のFOMCの結果について通好みのコメントをしている。
私は、これはFRBが暗中模索の状態であることも示唆しているのだと思う。
・・・
どうして米国で賃金上昇が加速しないのか、インフレが進まないのか。
どうしてNAIRUが4%より上にあるのか。
マイナード氏がBloombergで、FRBの内情を推測した。
同氏が触れたNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment、インフレ非加速的失業率)とは、インフレを加速させない最小の失業率のこと。
9月にFRBが推計したNAIRUは4.4%と、4%をゆうに超えていた。
だからこそ、インフレが噴き上がるのではないかとの心配があった。
6日発表の雇用統計では11月の失業率は3.5%。
本来なら賃金上層・インフレが起こってもいいはずだ。
私は年を食っているので、NAIRUが3%だった時代を覚えている。
マイナード氏は昔を回顧する。
もしもNAIRUの推計にずれがあり、実績の失業率からNAIRUまでまだ余裕があるなら、FRBには様子見どころか金融緩和の余地さえ生まれることになる。
FRBの2つの使命とは物価と雇用だ。
金融の安定は直接的には規定されていない。
マイナードは、もう1つ、NAIRUと対応する金利側の指標、中立金利にも注目する。
「もう1つ興味深いのは、中立金利に関する点だ。
何人かのFOMCメンバーは、実質中立金利がマイナスであると信じている。
だから、もしかしたら(名目)中立金利は2.50%、2.25%ではなく、1.50%に近いのではないか。
そうした議論が内部で行われたのではないかと思う。」
11日のFOMCでは、FF金利誘導目標は1.50-1.75%で維持すると決定された。
仮に中立金利が1.50%に近いとすれば、現状の金融政策はまったく緩和的でないことになる。
FRBは未踏の領域にあり、現時点で何をすべきか暗中模索しているんだ。
仮にマイナード氏が推測するように、NAIRUや中立金利が神のみぞ知る真の値より上方にあり、FRBがそれを修正すればどうなるのか。
金融緩和の余地が開かれることになる。
そうなれば市場はもう少し沸くことになろう。
重ねて言うが、金融の安定はFRBの一義的な使命ではない。