ローレンス・サマーズ元米財務長官が、ジャクソン・ホールでのパウエルFRB議長の講演について絶賛している。
彼は中立金利が上昇したとの見方を明示的にではないが認識していた。
中立金利という言葉こそ使わなかったが、高い金利の中でも多くの人の予想より高い経済成長が実現しているといった。
FRBが注視すべきことだ。
サマーズ氏がBloombergで、ジャクソン・ホールでのパウエル議長の講演についてコメントした。
同氏は議長がインフレ退治に重点をおいた姿勢を続けている点を評価・賛同している。
今回の講演の最大の注目点が中立金利だった。
仮にFRBが中立金利の上昇を認めれば、それはFF金利の適正水準をも押し上げることを意味する。
パウエル議長の発言がそこまで意図しているかは意見が分かれようが、似たニュアンスの話であるのかもしれない。
「まだ利上げが必要になるだろう。
予想される収縮は大きくない。」
景気の収縮なしにはインフレは収まらないとの考えだ。
FRB内外で景気後退どころか高い経済成長が持続するとの予想も出てきている。
確かに、そうした見方とインフレ収束の間には擦り合わない感覚がある。
サマーズ氏は、1970年代のインフレの教訓について質問されると、状況はまったく違うと認めている。
しかし、それでも簡単に無視すべきでないと示唆している。
広い教訓を言えば、最も深刻だった米国のインフレ問題は、1960年代終わり・1970年代初めに何度か拙速に勝利宣言した人たちによってもたらされた。
カーター政権になり再び、インフレ問題が現実に存在するのに政策論議は刺激策の方向に向いた。
1970年代は、私たちが容易に犯しうる間違いを思い起こしてくれるという意味で有用であり、警鐘を鳴らしている。
1960年代終わりから1970年代は、インフレ的なイベントが多い中で、さらにインフレを押し上げる財政政策が好まれた時代だった。
当時のFRB議長アーサー・バーンズは、注目するインフレ統計から高インフレの費目を外し、インフレを隠そうとした。
必要な金融引き締めが実行されず、政治家からは喜ばれたが、高インフレが慢性化した。
ポール・ボルカーがFRB議長となり荒療治するまで、インフレを再び引き下げることはできなかった。