ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏は、今年の市場が難しい展開になるとし、FRBによる債券買入れの拡大を予想している。
わたしは来年(注:文脈から2021年を指している)が大喜びの年になるとは思っていない。
この新たに時代に入り、経済成長率とインフレが高まるだろう。
それとともに、財政赤字も拡大する。
ダリオ氏の発言をBloombergが伝えている。
サウジアラビアのSWF主催のシンポジウムで述べられたもの。
市場は楽観で満ちている。
それもそのはず。
確たる根拠もないのに熱狂できるのだから、何と幸せなことか。
バブルのようなものは、永遠に崩壊しないなら、理想的な状態といえるものだ。
しかし、ダリオ氏はまったく楽観していない。
泡に近づく針が見えているためだ。
財政赤字の拡大が意味するのは、各国政府とりわけ米国が諸外国により多くの国債を発行するということ。
つまり、諸外国に債券が供給されることになる。
需給の状況を考えると、私には(増発される)債券に対して十分な需要があるとは信じられない。
ここが米国の弱いところだ。
日本であれば、赤字国債が発行されても、そのかなりが国内消化されうる。
この買い手はそれほど逃げ足が速くない。
米国の場合、国内の貯蓄が十分でないため、増発される国債について海外投資家に大きく依存することになる。
こちらの投資家はやや気まぐれだ。
(実質)利回りが十分にないと、食欲を減退させてしまう。
ダリオ氏は先を読む。
年後半にFRBがギャップを埋め合わせるために介入し、これら国債を買い入れるだろうと考えるのが合理的だ。
だから、今年は面白く、かつ手ごわい年になるだろう。
市場は今テイパータントラムの再来に怯えている。
しかし、シナリオはそれだけでなく、真逆の方向にも広がっている。