IMFチーフ・エコノミストも務めたケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、現実的かつ常識的だが明日すぐには役にたたない予想を述べている。
私は間違いなく、見通せる限り(金利が)高止まりすると考える側にいる。
ロゴフ教授がBloombergで、米金利が高止まりを続けると予想した。
「多くの人がたくさん投資していて『これは一時的なもので、しばらくしたら戻るはず』という。
彼らは人口動態や生産性を研究してきた。
でも、長期にわたる実質金利を見てみると、それらの要因はあまり強いものではなく、方向さえ逆を行くことがある。」
ロゴフ教授は、ファンダメンタルズが金利高止まりを示していると指摘する。
ただし、さらに上昇するかは、FRBがインフレ期待をうまくアンカーしインフレを鎮静化できるかにかかっているという。
キャスターから、地政学的要因・気候変動への対処が金利上昇を加速させるのかとたずねられると、1つはYes、1つはさほどでもないと答えている。
世界の地政学的状況を考えると、米国も欧州も軍事費を削減しにくい状況にあり、これは金利上昇要因。
一方、気候変動への対処はこれまではさほどスピード感がないとした。
むしろ大きな要因は世界的なポピュリズムの台頭であり、至る所で行われている所得再分配が大きな影響を及ぼすという。
ロゴフ教授は、債券残高に比べ売買高が少ないために金利のボラティリティが高くなっていると指摘する。
これが市場を不安にさせうる。
また、投資家は、金利上昇が一過性のものではないことに気づき始め、景気後退を予想し始めているという。
実際、実質金利の水準は実体経済や貯蓄に影響を及ぼすほど高まっているという。
こんなに利上げすれば、この先明らかに金融アクシデントのリスクがある。
どこで起こるかはわからない。
アクシデントは、考えるほどすぐに劇的に起こるものではない。
これは金利上昇に経済が適応しようとするために起こる。
「金融アクシデント」とは《金融危機》の謙譲語とでも考えればよい。
利上げサイクルの起点がゼロ金利だった分、ロゴフ教授の心配は深いようだ。