ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、いつものように淡々と穏やかに、暗い米国の未来を語っている。
ダリオ氏がCNBCで債券利回りについて尋ねられ、目下の変動要因となっている需給面の「ファンダメンタルズ」を語った。
「債券を保有していた人たちが食欲を失っており、大きなリスクだ。
銀行だけでなく、中央銀行、日本の投資家などだ。」
ダリオ氏は、買い手が「適正なリターン」をとれるようになるまで実質金利は上がらざるをえないと説明した。
ダリオ氏は債券利回り(おそらく長期金利を想定している)について、次のような目の子計算で予想した。
今後のインフレ率の水準が3.0-3.5%、実質金利が1.5-2.0%。
合計して名目金利が4.5-5.0%。
現在はその水準にあるとした。
ダリオ氏は過去数年に起こったことを解説している。
「政府は意図して借金を増やし、家計・企業部門は恩恵を受けた。
そこで金利が上昇し、結果起こったのが貯蓄の緩やかな減少だ。
また、債務が期限を迎え、借り換えされる度に徐々に増え、スクイーズに直面している。」
このスクイーズが経済を鈍化させているという。
ただし、「米経済は大きく壊れているのではなく、鈍化している」と表現している。
したがって、金利について短期的には大きな変化を予想していない。
「金利構造は現在の水準から少し低いところにとどまる可能性が高いが、需給問題の不確実性による幅があるだろう。
・・・FRBの政策には、経済鈍化による軽微な金融緩和を除けば大きな変化はないだろう。」
景気減速を予想するものの、一方でインフレはまだ目標を超えているから、大きな金利低下も予想しにくいのだろう。
一方、長期的な予想としては、ダリオ氏は従前どおり厳しいシナリオを描いている。
債務の増加率が所得の増加率を超えてしまうと、返済・利払いが他の支出を圧迫することになる。
それでも支出の水準を維持すれば、債務増加が加速してしまう。
それが買い手の買い意欲を奪い、債券需給を悪化させる。
(財政が)悪くなればなるほど、長期的な問題が大きくなる。
それは単純に数字に表れており、数字の問題であり、米国は転換点の近くに来ている。