Bloombergによるスコット・マイナード氏インタビューには、もう1つ楽しめる部分があった。
同氏の吐く毒をもうしばらく楽しんでみよう。
Bloombergキャスターはこう質問している。
「私たちは以前『予防は治療に勝る』という話をした。
早期に利下げをして(経済)悪化の先回りをしろという議論だった。
少し早く少し多くやっておけば、後でたくさんやらずに済むという話だった。」
こうした考えがいつも間違っているわけではない。
しかし、こうした議論を唱える人たちの中には、何かにつけて刺激策をやれと声を大きくするだけの輩も多く含まれている。
それが証拠に、刺激策は早く大きくとの議論が多くなるのに、その巻き戻しはギリギリまで待つべきという話になる。
マイナード氏は冷静に当事者ごとの損得を見透かす。
「政策立案者の立場から考えるなら、そうなるのだろう。」
マイナード氏は金融引き締めの匙加減を車の運転に喩えている。
グリーンスパン元議長が引き締めのやり方を、ブレーキを「踏み込む」でなく「軽く踏む」と言っていたことを紹介し、これから始まる引き締めと比較した。
1年100 bpの利上げとバランスシート縮小の予想を語り始めたら、過去3-6か月と比べた場合、アクセルを踏んでいる時に先の信号が赤になったケースに似ている。
今はブレーキを踏みこまず、赤信号直前まで待ち、急ブレーキを踏み込むようなものだ。
デフレなら先回り、つまり予防しろといい、インフレなら先送りしろ、つまり予防するなという。
刺激策を好む人たちに一貫しているのは、なるべく長く多く刺激策を求めることであり、それが経済や市場にとって本当に良いことなのかはあまりはっきりしない。
少なくともマイナード氏はそうしたやり方を否定的に捉えている。
そうして資産価格が突然崩壊し、経済活動が突然崩壊する状況になるんだ。