ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、いつものように淡々と暗い未来を語り、2%物価目標をミッション・インポッシブルと呼んでいる。
「米国であっても、短く浅い景気後退とならずソフト・ランディングするかどうかはまだわからない。」
ルービニ教授がBloombergで、米国を含む世界景気について慎重な意見を述べた。
教授がネガティブな話をするのは珍しいことではない。
むしろ常に下方リスクについて注意喚起することから、終末博士とも呼ばれる。
リーマン危機後の金融緩和がなかなか正常化しなかった時期から、ルービニ教授はスタグフレーションのリスクを警告してきた。
教授はインフレについて、供給側と需要側の両方の要因をマシンガンのように並べ立てた。
- 供給側: 経済成長を低下させ、生産コストを増やす。
反グローバル化、地政学的対立、高齢化、移民制限、気候変動への対処、パンデミック、サイバー戦争、格差拡大の反動(?)、部分的グローバル化 - 需要側: 民間・公共の債務拡大による支出増。
格差拡大、気候変動、パンデミック、グローバル化やAI等による格差への対応などで支出増が求められている。
ルービニ教授は、需要・供給の両面で循環的要因ではなく構造的要因からインフレが高まると予想する。
支出は増え、増税はさほどなされず、構造的な財政赤字は拡大する。
だから、経済成長をクラウディング・アウトしようが、債務危機になろうが、結局(債務を)マネタイズすることになる。
これは基本的にインフレを引き起こす。
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現時点で2%(インフレ)はミッション・インポッシブルだ。
ニューノーマルは先進国でおそらく3-4%の間だろう。
まさに終末博士らしい発言だ。
人間の愚かさを熟知し、社会がわかっていながら望ましくない行き先に向けて歩き続けると予想するのだ。
Bloombergはルービニ教授に投資判断についても尋ねている。
- 株式: 年内は米国株をショート。
ただし、欧州・中国他よりはまし。 - 為替: しばらくはドル高。
来年にはFRB利下げが見込まれドル安に転じ、中期でドル安。