ジム・ロジャーズ氏が、お気に入りの大河ドラマを語っている。
歴史を通して、貨幣の大量発行はインフレを招いてきた。
米国は大量の貨幣を発行しており、米国だけでなく日本やその他の国でもそうだ。
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1970年代にもインフレはあったが、あの頃米国は債権国だった。
今では世界の歴史上最大の債務国だ。
ロジャーズ氏がThe Market Timing Reportのインタビューで、米国ほかでのインフレが長引くと予想した。
インフレが荒れ狂った1970年代より状況は悪いとの主張だ。
世間では、需給、特に供給制約がインフレに強く効いているとの見方が多い。
労働市場やサプライチェーンに根差す供給制約については、徐々に改善しつつあることから、インフレ解消への楽観が強まりつつあるのが現状だ。
ロジャーズ氏の意見は、それとはまったく異なる視点によっている。
貨幣的要因によるインフレが居座るとの考えだ。
ただし、テーマの取り方はビッグ・ピクチャーだ。
時間軸はかなり長いものらしい。
100年前は英国が世界一の国で、それに次ぐ国がなかった。
しかし、50年後には破産し、IMFに救済された。
第1次石油ショックの3年後の1976年、つまり世界がインフレ的だった1970年代半ば、かつての覇権国家 英国はIMFから支援を受ける事態となった。
いわゆる英国病が慢性化し、財政赤字が続き、ポンド防衛を迫られ、ついに外貨準備が底をついたのだ。
ロジャーズ氏は、いつか同様のことが繰り返されると信じている。
ある時期、通貨とともに頂点にあった国は必ずその地位を失ってきた。
だから、これは米国にも起こる。
時間軸のはっきりしない予想は、投資に織り込むのが難しい。
ロジャーズ氏自身まだ大きくドル持ちのポジションを抱えているから、仮に短期的に起こりうるとしてもソリューションの見出しにくいテーマなのだろう。