ジェレミー・シーゲル教授は、米インフレが峠を越えたとしつつ、米景気についてはFRBの匙加減ひとつで景気後退入りしかねないと警告している。
パウエル議長はインフレに超敏感であるのと同様に現実の(経済)データに敏感であるべきだ。
(FRBの)次の一手は利下げだ。
たとえ景気後退でなく鈍化であっても、来年3月にもそうなる可能性がある。
シーゲル教授がCNBCで、噴き上がりつつある市場の強気を代弁した。
「イールドカーブを正転させてほしい。
・・・歴史を通して(長短逆転は)よからぬ兆候だ。」
短期の政策金利を引き下げ、長短逆転しているイールドカーブを順イールドに戻してほしいという趣旨もあるようだ。
ただし、皮肉なことに、過去を振り返ると、正転の直後に景気後退入りする確率が極めて高い。
今回のサイクルも、最終的な分岐点が近づいている可能性が高い。
シーゲル教授は、インフレについては峠を越したとの見方のようだ。
特に1970年代との違いを強調している。
マネーを供給し続けインフレが悪化していった1970年代とは異なり、現在はマネーが収縮している。
FRBが1970年代を先例として慎重になりすぎれば、経済を害しかねないと警告している。
シーゲル教授は、この先の金融政策が自分の考えどおりになると確信しているようだ。
根拠は、来年が選挙の年であり、政権・政治家がハト派的政策を望むためだ。
それでも、経済の先行きに関して、教授はやや警戒を強めている。
まだ景気後退につながりうる実体経済の鈍化に敏感になるべきだ。
景気後退入りするとは言わないが、現在は上方より下方のリスクの方が大きい。