アリアンツ経済顧問モハメド・エラリアン氏が、年内にまだ利上げが行われる場合、米経済を打ち壊す可能性があると警告した。
「簡単な方の答は、月・火がハト派のFRB高官発言で利回り低下。
水・木は予想よりやや高いインフレで利回り上昇。
今日(金)は地政学的懸念で利回り低下だった。」
エラリアン氏がBloombergで、忙しい週となった債券利回りについて解説した。
しかし、これは表層を解説したにすぎない。
金利が日々の材料に大きく左右されるのは、債券が糸の切れた凧のようになっているからだという。
難しい方の答は、債券市場のアンカーがすべて、すべて失われたということだ。
経済のアンカーも、テクニカルのアンカーも、政策のアンカーも失われた。
エラリアン氏は、今のところは金利がレンジに収まるような力が働いており、急変が限定されているという。
とはいえ、債券市場のアンカーが失われた状況では、債券価格(利回り)のボラティリティが高止まりすると心配した。
株式と債券の相関が高まっている現在、債券(利回り)が上下を繰り返すなら、株式もそれに付き合うことになるのだろう。
エラリアン氏は、年内のFRB金融政策について心配する。
市場は1/3の確率で今後2回のFOMCのうちのどちらかで(利上げが)あると言っている。
そうならないことを祈っている。
エラリアン氏は利上げを望まない理由として金融政策が遅れて効果を及ぼすこと、金融安定、経済成長への影響を挙げた。
その上で、従前どおり、2%物価目標の達成を急ぐべきでないと主張した。
「インフレは(経済に)組み込まれ、2%を急げば経済を打ち壊し、金融不安定リスクを生みかねない。
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FRBは言及していないが、この背景にある考えとは、金融政策の枠組みを見直し、正しい物価目標と達成時期を見直す必要があるということだ。」