アリアンツ経済顧問モハメド・エラリアン氏が、2つ重要な心配事を語っている。
いずれもFRBの政策運営が深く関連している。
「(米債の)3つのアンカーは失われたままだ。
経済によるアンカー、政策によるアンカー、テクニカルによるアンカーのいずれかが必要だ。」
エラリアン氏がBloombergで話した。
エラリアン氏は以前からアンカー不在の米債券市場を心配している。
米経済は米債の信用力をかつてほど支持せず、「データ次第」のFRBはフォワードガイダンスを語らず、FRBや外国人の買い意欲は後退した。
こうした状況では、債券価格(≒金利)はボラティリティを高めることになる。
最も印象的なのは、何も壊れていないことだ。
世界中の様々な資産等にとって直接・間接のベンチマークになっている米国債が不安定な環境に置かれ続けている。
それでも何もまだ壊れていないことにエラリアン氏は驚いているのだ。
市場の打たれ強さに感嘆しているが、表情を見る限り、危機が去ったと考えてはいないように見える。
エラリアン氏は「データ次第」の政策運営を続けるFRBに注文を付ける。
「特に政策決定者がもっとすべきことは、企業の利益予想に耳を傾けることだ。」
FRBは、インフレ上昇時に犯した誤りを繰り返すのではないか。
インフレが始まった時、企業はコスト上昇と転嫁をさかんに口にしていたのに、インフレよりデフレを危険視したFRBはインフレ抑制を怠り、インフレ昂進を招いた。
今は、景気後退よりインフレを危険視している。
共通するのは、将来を予想・提示せず、実績のデータ、つまり過去をもとに政策を決めようというやり方だ。
現在、ほとんどの企業がとても急激に需要が軟化していると話している。
ハイエンド、ローエンドの両分野で聞かれ、とても珍しいことだ。
現在の過度な『データ次第』のやり方は新たな問題を引き起こすだろう。
FRBのスタンスも重要だろうが、それ以上に米経済の冷え方には注意が要りそうだ。