投資 その他

ロバート・スキデルスキー 【短信】ドアは必ず開くか?:ロバート・スキデルスキー
2021年8月20日

経済学者で英上院議員のロバート・スキデルスキー教授が、便利なサービスに慣れ切り依存することのリスクを警告している。


先日、妻と私がマンションの建物を出ようと自動ドアのボタンを押したところ、何も起こらなかった。

スキデルスキー教授がProject Syndicateで、ある日の出来事を書いている。
停電のための不具合だったが、本来ならフェイル・セーフが働き、ドアは開くはずだったのだという。
結局、夫妻は運よくたまたま通りかかったコンシェルジュによってドアをこじ開けてもらったらしい。

スキデルスキー教授は「ドアが二度と開かなかったらどうする?」と結んでいる。
何を言いたかったのか。

ゆっくり進行する脅威とは、依存するサービスの『自動的』提供に慣れた人たちが、自然の・人為的の両方の『ショック』への耐性を徐々に失うことだ。
過去はどうだったかの記憶を失い、依存するプロセスがどう機能するかほとんどまたは何も知らないことで、『通常の』生活が少し狂うだけでも何もできずパニックすることになる。

スキデルスキー教授はこのコラムの中で「情報の独占」・「機械の神」などに触れているから、巨大テック企業等を念頭に置いたものだろう。
例えば、大多数の人々がお世話になっているGoogleのサービスが突然ダウンしたらどんなに不便だろう。
自然に起こる事故かもしれないし、第3者またはサービス・プロバイダー自体によって人為的に起こる可能性もないとはいえない。

ただ、この抽象的な寓話は抽象的であるがゆえにもっと広い範囲に当てはまる話だ。
例えば、

  • デジタル通貨における停電、サーバ側での不測のトラブル
  • 低金利・低インフレに慣れ切った金融のプロたち
  • 中央銀行が助けてくれることを前提にする市場

何事も慣れ切ること、思い込むことは禁物ということだろう。


-投資, その他
-

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。