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【短信】デービッド・アインホーンによる変容した市場での必勝法
2024年2月10日

デービッド・アインホーン氏が、投資家向け書簡(既報)で触れていた株式市場の変容について詳しく語っている。


市場は根本的に壊れてしまった。・・・
ほとんどの投資資金にとって(投資対象の)価値は勘案事項ではなくなっている。
すべては機械のお金、アルゴリズムのお金で、価値への意見を持たず、持つのは価格への意見だ。

アインホーン氏がBloombergで、価値を重視しない株式市場の現状を語った。
実際の営みとして短期売買、ゼロデイ・オプション、パッシブ・ファンドなどを挙げている。

「(ヘッジファンドを始めた1996年頃は)とてもたくさんの人が投資家のために割安のものを注目・探索していた。
パッシブの世界が取って代わり、大きく変化した。・・・
市場の小さな部分では全く誰も注意を払っていないセグメントさえある。」

これがアインホーン氏が目撃した市場の変化だ。

1976年ジャック・ボーグルがインデックス・ファンドを生み出して以来、同分野は多くの投資家に投資の機会を与えてきた。
その意味で大きく社会に貢献した存在だが、特に強気相場ではパッシブ運用がアクティブ運用を駆逐するような展開となった。
パッシブ運用の効率的な投資にはアクティブ運用が不可欠であることを考えれば皮肉な展開だ。
(以前ロバート・シラー教授はこの現象を危惧し、パッシブ運用を「ただ乗り」の「疑似科学」と苦言を呈したことがある。)

アインホーン氏は、アクティブ運用の一カテゴリーであるバリュー投資が駆逐されるプロセスをわかりやすく説明する。
この説明ではバリュー投資の前提とは真逆に、割安株はさらに安く、割高株はさらに高くなる。

お金がアクティブからパッシブに移動する場合、それが起こる時にはバリューファンドは払い戻しを求められ、バリュー株は下落し、それがまた多くの払い戻しを生み、バリュー株はさらに下げる。
そして突然、アウトパフォームしている人の持株はインデックスによる割高株ばかりになる。
バリューからインデックスにお金が移動し、安いものが売られ、倍率のとても高い割高株が不相応な割合で買われることになる。

アインホーン氏は、「バリュー業界の多くが完全に壊滅した」と話している。
かつては、自分たちが他に先んじてチャンスを見抜き、他のアクティブ運用者の追随を待てばよかった。
しかし、追随する投資家が期待できない今、やり方を根本的に改めないといけない。

「今やっているのは、価格への規律を高めること: PER 10-11倍では買わず、4-5倍で買っている。
大きな自社株買いの時に買う。
他のロング・オンリー投資家が後追いで買ってくれることに頼らない。
会社から投資回収をしている。」

価格が価値より安い割安株を買って、価格が価値に近づいたら売るというのが従来のバリュー投資。
しかし、価格が動くことに期待ができない。
そこで、投資回収を発行体からの株主還元に求めようというのだ。

アインホーン氏は皮肉たっぷりに、現在の市場での必勝法を説いている:

株式は価値に向かって回帰するのではく、価値から乖離していく。
これが市場で起こっている変化であり、この構造が意味するのはほぼ、上昇する株式に投資するには割高な株から始めろ、ということになる。


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