息の長い空売りで有名なジム・チャノス氏率いるヘッジファンド、キニコス・アソシエイツが閉鎖された。
同社ウェブサイトはすでにチャノス・アンド・カンパニー(チャノス氏のファミリー・オフィス)に看板を替えている。
各社報道では、17日付け投資家向け書簡で、預かった資金のほとんどを投資家に返還すると通知したという。
皮肉屋という意味を持つキニコスは1985年からの歴史を閉じた。
同ファンドの投資家は累積で50億ドル近くの利益を得たという。
チャノス氏の言葉には、長く続いた拡張的政策と強気相場がショート・セラーにとって厳しい環境を与えた様子がうかがえる。
「ファンダメンタルズによる銘柄選択は衰退した。」
強気相場の継続で投資家が離れ、2008年に80億ドルあった運用資産は2億ドルまで減っていた。
チャノス氏と言えば、何と言ってもエンロンの空売りで有名だ。
同社の不適切会計を指摘し、同社株を売り崩した。
一時80ドル近かったエンロン株は60セントまで急落した。
最近のターゲットと言えば、テスラ・IBM・中国・独ワイヤーカードなど。
テスラについては長くショートを続け、火傷を負った。
チャノス氏はEV業界の競争激化を予想し、それは今年のテスラによる値下げという形で実証された。
しかし、テスラ株は年初来で9割ほど上昇した。
マグニフィセント・セブンが牽引し、S&P 500は年初来で2割弱の上昇だ。
こうした市場ではショート・セラーは分が悪い。
テスラについては、マグニフィセント・セブンの他銘柄に引っ張られたようにも見える。
キニコスは年初来で4%のロスとなっていた。
チャノス・アンド・カンパニーは主にチャノス氏個人の資産運用を行うという。
同氏が現在ショートのチャンスと見るのは、データセンターと不動産投資信託だという。