ジェレミー・シーゲル教授によるジャクソン・ホールについてのコメント。
既報から大きな変化はない。
(パウエル議長が米経済の高成長を生産性上昇によるものと言わなかったことについて)
これはある種、フィリップス・カービアンとでもいうべきものだ。
生産性上昇を考えないと賃金上昇がインフレ圧力になってしまう点について反対意見を述べたもの。
シーゲル教授は生産性上昇をインフレ鎮静化の一因と主張している。
(今回のジャクソン・ホールの注目ポイントだった中立金利について)
中立の短期均衡金利は0.5%を超えていると言われている。
私はそれに同意し、おそらく最近上昇したのだと考えている。
中立金利上昇は、利上げ余地を広げるロジックを与える。
利上げはもう十分とするシーゲル教授でも、最近の強い米経済を見ると中立金利上昇は否めないようだ。
(実質金利と株式市場の関係について)
分子と分母のせめぎ合いに変化はない。
分子は企業利益が上昇し、分母は実質金利が上昇しており、株式をディフェンシブにしている。
金利上昇は株式、特にグロース株にとってはマイナス要因とされるが、そこは永遠のブル。
企業利益が改善する限り相殺されると解説。
(NVIDIAの業績が市場予想を上回ったのに株価が下落に転じたことについて)
この株は噂される数字で売買されている。・・・
これは噂vs現実のゲームであり、『噂で買って事実で売れ』のゲームだ。・・・
誰が買い手として実際に残っていて、どんな割引率を使っているかの問題だ。
暗にNVIDIA株の危うさを滲ませている。
(米経済に強気。FRBのスタンスも改善したという。)
私は今、景気後退が不可避とは感じていない。
でも、言ったとおり、下方リスクは間違いなく少なくとも上方リスクと同等以上に存在する。
パウエル議長は逆の側の考えで、上方リスクが下方リスクよりわずかに多いと見ている。
FRBが年初よりは下方リスクに目配りを増やしたことで、景気後退のリスクが減ったと見ているようだ。