海外経済 投資

【為替】1960年代終わり-1970年代初めに似ている:レイ・ダリオ
2021年6月24日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏は、FRBが金融政策を正常化するのは難しいとして、今後の金融政策・ドル相場が辿る道を暗示している。


FRBは(金融を)引き締めるべきと主張するのはたやすいし、私もFRBは少しブレーキに足を載せるべきだと思う。
しかし、現在はとても敏感な市場であり敏感な経済だ。
資産のデュレーションがとてもとても長くなっており、ブレーキにちょっと触れただけで市場を傷つけかねない。

ダリオ氏がQatar Economic Forumで、今後のFRBの金融調整が極めて難しくなると指摘した。

資産のデュレーションが長期化するとは、金利の変化に対する資産価格の感応度(一次微分)が大きくなっているということ。
金利が少し上がるだけで資産価格が大きく下がり、経済に波及しかねないということだ。

1980-81年の循環的ピーク以来ゼロ金利になるまで、金利のすべての循環的な山、すべての循環的な谷が前回よりも下がってきた。
すべてのQE、言い換えると・・・債券買入れは前回より大規模になってきた。
形はどうあれ、これが通貨の価値低下なんだ。

米10年債利回り
米10年債利回り

景気刺激策は癖になる。
慣れてしまうと、何かある度に気楽に用いられるようになる。
為政者が好景気を自慢していても、刺激策が温存・追加されるようになる。
そして、刺激策だのみの経済回復は麻薬のようなものだ。
毎回毎回、前回より増やさないと効いた気がしなくなる。
また、効果も逓減するから、単に回復させるにもより大規模な刺激策が必要とされる。
こうして毎回、刺激策は大きくなる。
いつか限界が来るとわかっていても、大きな問題が起こるまで、止めることができないことが多い。

ましてや今は世界的に格差問題がクローズアップされている。
為政者はポピュリズムに傾きがちだ。
ダリオ氏は、FRBがバランスのとれた政策を実行するのが難しくなっていると話す。

同氏は明言しないが、過去と似たことが繰り返されると考えているのだろう。
前回より大きな金融緩和を行い、少し正常化し、問題が起こると金融緩和に戻る。
いつか続けられなくなるまで、その繰り返しになる。

私たちは、今が長期債務サイクルの終わりであることを心に留めないといけない。
これが意味するのは、FRBが前回と同じく、金利上昇を防ぐためにもっと莫大な買入れを行わなければいけないということだ。
これは極めて循環的でないことだ。
準備通貨にとってとても危険なことだ。

いよいよ続けられなくなると気づくと、みんな米国債に代わるものを探そうとする。
それは他の資産クラスかもしれないし、他の国・地域の資産かもしれない。
これは米金利上昇・ドル安の要因となる。
もちろん、可能な限りFRBはこれに対抗するだろう。

現在の状況は、1960年代終わりから1970年代初めにかなり似ている。
当時、米国と日独のコアインフレ率に差があり、国際収支にも差があった。

ダリオ氏が念頭に置いているのは1971年のニクソン・ショックだろう。
ブレトンウッズ体制が終わり、大幅なドル安が進行した。

ドル/円(青、左)とドル/マルク(赤、右)
ドル/円(青、左)とドル/マルク(赤、右)

ダリオ氏は、現在のドルの置かれた状況について「特にアジア通貨に対してマイナス」と話している。


-海外経済, 投資
-, , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。