野村総研のリチャード・クー氏が、シンクタンクや野村総研について語ったインタビューの中で、氏の本音をよく表す微笑ましい発言があった。
日々何億、何十億、何百億というおカネを扱っている人たちの前でいい加減な話をしていたら、すぐにもう2度と来なくていいということになってしまいます。・・・
ジョージ・ソロスのような世界的な投資家の前で話すこともあるわけです。・・・
ものすごい緊張感があります。
クー氏が東洋経済掲載のインタビューで吐露している。
程度の差こそあれ、金融機関等に勤め顧客にアドバイスする立場にある人なら味わったことのある感覚だろう。
相手が巨額のお金を運用する投資家なら、常人には想像できないような緊張感を感じているはずだ。
失敗すれば自社でなく野村證券の顔をつぶすことになってしまうのも嫌なところかもしれない。
クー氏は、こうした緊張感が自身にとってなくてはならないものと話している。
こうした業務に時間の7割を充てているとし、世界的に高名な同氏が長く野村総研に留まる理由を次のように語っている。
そうした研究の時間が7割で、残りの3割で天下国家の議論をする時間が与えられています。
このバランスが私は好きなんです。
野村総研を辞めると、天下国家の議論だけになってしまう可能性が高いわけですが、そうすると、このヒリヒリするような緊張感がなくなってしまいます。
どうやら天下国家の議論はヒリヒリしないらしい。