【グラフ】藻谷俊介氏:いざなぎ超え景気の正体

スフィンクス・インベストメント・リサーチの藻谷俊介氏が紹介しているグラフが秀逸だ。
これを見れば、みんな昨年の流行語を思い浮かべるはずだ。


今の好景気は、いざなぎ景気(1965-70年、57カ月)を抜いて史上2番目の長さということになっている。
・・・
しかし、こうした報道からは重要な論点が抜け落ちている。

藻谷氏が週刊エコノミストで、現在長く継続しているとされる景気拡大期の報じ方について注文をつけている。
論より証拠、グラフを見ればどういうことかわかるはずだ。

景気動向指数CI一致指数
景気動向指数CI一致指数

赤い網掛けは景気後退期を示している。
現在の57か月にわたる景気拡張期は、最後の景気後退期の後の白い部分を指している。
そして、藻谷氏が疑問視するのは赤の矢印部分だ。

「14-15年の約2年間にわたってグラフが低下していることには、驚く読者も多いのではないか。」


藻谷氏はこの部分が伝えられていない点をいぶかしんでいるのである。
これを59か月にわたる景気拡張期と呼んでいいものだろうか、と。
藻谷氏は(景気の山谷を認定する)景気動向指数研究所の議事から「事務局が用意した結論で押し切った様子が見えてくる」と書いている。
確かに議事録では「ぎりぎりの判断」との記述も見え、事務局の誘導が大きく影響したのだろうとの推測ももっともだ。

藻谷氏は「忖度があったとは言わないが・・・」と書いているが、少なくとも筆者は忖度があったと想像している。
「ぎりぎりの判断」であるならば、上に受けのいいようにとするのがサラリーマンであり役人だろう。
筆者はこの数年ですっかり官僚や官庁エコノミストに幻滅してしまった。
しょせんは言葉の定義の話にすぎず、現実の経済とは本質的には関係ないからどうでもいい。
(間接的には大問題なのだが・・・)

忖度を否定する(?)藻谷氏でさえこう書いている。

「12年12月という好況の始まりの月は、安倍晋三政権誕生の月でもある。
そこからアベノミクスでずっと好景気だった、でなければ官邸は困るだろう。」

しょせん政治や役所というのはそういうものだと思えば、悲しささえ感じない。
藻谷氏が言いたいのは、だからこそそこを報道が伝えるべきということだ。

官邸も日銀も自らの成果をにぎにぎしくアピールしてきた。
その割には政府からのデフレ宣言がなかなか出てこないし、日銀も公式に金融政策正常化に舵を切ろうとしない。
彼らはこのいざなぎ超え景気の正体を知っている。
強気の宣言をして、金融・財政政策発動の余地を奪われたくないのであろう。


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