【グラフ】コアコアCPIの現実味

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バーナンキ前FRB議長が日本に財政出動を求める趣旨の講演をしたという。
そこで、興味深い試算があったので検証しておこう。(浜町SCI)


興味をそそられるのは、財政政策を実施しても債務対GDP比率が上昇せずにすむ物価上昇率の試算だ。

「現在の日本国債の期間構造を前提にすれば、日銀がGDPの2%に相当する財政政策をファイナンスし、インフレを目標より
・3年間 0.7%ポイント高く維持するか、
・5年間 0.4%ポイント高く維持するか
できればよい。」

物価目標は2%だから、ハードルは2.7%、2.4%ということになる。
では、これらの数字は日本にとってどういう数字なのか。

コアコアCPI

バブルの直前から32年間をとったグラフがこれだ。
32年間においてバーナンキ氏の挙げたハードルをクリアしたのは
・2.7%以上: 2年
・2.4%以上: 5年
しかない。
これがいかに高いハードルであるかわかる。


過度な金融緩和がバブルを引き起こしたと言われる1990年前後でさえ、バーナンキ氏のハードルをクリアする時期はない。
バブルでも実現できないかもしれないというのは重い事実だ。
つまり、尋常な経済環境では到底実現しえない状況なのだ。
何かしらの大きな構造的な変化がない限り、実現は難しいのだろう。

では、例えばどんな変化があれば実現しうるのだろう。
コアコアCPIをさらにさかのぼってみよう。

コアコアCPI(オイルショック頃から)

コアコアCPIとは、消費者物価指数のうち「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」のこと。
エネルギーを除いていてもオイルショックの影響を強く受けている。
つまり、交易条件の悪化が一つの可能性であると示唆される。
具体的には
・資源価格の大幅な上昇
・円の大幅な減価

これぐらいのことが起これば、バーナンキ氏の言う通り、財政を悪化させずにインフレが誘導できるのかもしれない。
そうなると再びいつもの疑問が脳裏をかすめる。
インフレとは幸福のための道なのか、不幸のための道なのか。

山田泰史山田 泰史 横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属。東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修了 理学修士、ミシガン大学修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
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