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『静かな引退危機』への対処を考えるべき:ラリー・フィンク

ブラックロックCEO ラリー・フィンク氏は、インフレを一過性とするFRBの見方に否定的な見解を示し、適度の金融政策正常化には表面化しつつある深刻な問題を緩和するメリットもあると示唆している。


待機資金の金額はかつてない規模にある。
金融刺激策の金額はかつてない規模だ。
財政刺激策の規模はかつてない規模だ。

フィンク氏がCNBCで、現在の市場がおかれた状況を端的に語っている。
インフレ、FRBの対応、デルタ変異種など心配なことも多くあるとしながら、市場については上昇継続を予想せざるをえないとのニュアンスを語った。

一本調子の上げになると示唆するつもりはないし、この先失望もあるかもしれない。
でも、概して、財政・金融刺激策の金額、さらに重要な待機資金の金額を考えると、トレンドはまだ上向きだと信じている。

フィンク氏は先述のリスク要因から、今後の上昇は緩慢なものになりうると述べた。

フィンク氏はインフレとFRBの金融政策についてReutersに語っている。

私は1970年代のようなインフレを予想しているわけではない。
ただ、2%を超えるインフレになると考えている・・・おそらく3.5-4.0%に近づくだろう。

フィンク氏は、今後数年、米国において「雇用重視、製造プラットフォーム・サプライチェーン見直し」が起こり、インフレ圧力になるとみている。
結果、インフレを一過性と言い続けているFRBは、見方・行動スケジュールを変えざるを得なくなるという。
フィンク氏によれば、50-100 bpの利上げは「さほど悪くなく、株式市場を混乱させるものではない」という。

実際のところ、フィンク氏は、金利上昇には社会にとって利点も存在すると考えている。
この数年、同氏はある重大な危機が表面化しつつあると警告してきた。
その危機は、現在の欧州で顕著に表れているとCNBCで話している。

「疑問の余地なく、中央銀行が金利を低く、あるいはマイナスに保つことで、欧州では預金者が打撃を受けている。
資産保有者が金融政策の最大の恩恵を受けているというのは、まったく正しい。
だからこそ、私は1-2年前、財政刺激策を強め、おそらく金融政策を弱めるよう話したんだ。」

仮に、預金者という集合と引退世代という集合に重なりが大きいなら、強力な金融刺激策が長期にわたって継続することが、引退世代の首を絞めることになる。
仮に、その尻ぬぐいを財政によって行うなら、負担はブーメランのように現役世代に降りかかる。
現役世代を助けるはずの金融政策の効果が削がれてしまいかねない。

フィンク氏は、こうした問題が今後長い間、深刻な問題であり続けると予想する。
また、この問題に直面した預金者が混乱し、結局株式市場に向かっていると指摘した。
かつてのセオリーどおりなら、引退世代は高リスクの投資を徐々に手じまい、低リスクの投資にシフトしていくはずだった。

疑問の余地なく、私が『静かな引退危機』と呼ぶものについて、私たちは対処しなければいけない。
不幸なことに、好むと好まざるとにかかわらず、みんな長く働かなければいけなくなりそうだ。
貯蓄に対して(過去と)同じリターンは得られない。
一方で、過去1年バランス型ポートフォリオにしていた人は、かなり良かっただろう。


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