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「救済」が生み出す分断と借金:ジェフリー・ガンドラック
2020年5月6日

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、FRBによる市場救済や増え続ける国の借金に相変わらず怒っている。


FRBの先回りをした買い手を『がっかりさせる』ことがないようにとの最近の請願に応えて、FRBが『幅広く大規模に』(社債)ETFを買い始めたら、4月9日はメイン・ストリート(実体経済)からよく受け止められることはないし、そうあるべきでもない。

ガンドラック氏が5日ツイートした。
4月9日とは、FRBがフォールンエンジェルを含む社債等や中小企業向け貸出債権の買入を発表した日だ。
ガンドラック氏が問題視するのは前者。
FRBは社債ETFを買い入れることでこれを実行しようとしている。

ガンドラック氏からすれば、米社債市場で過剰が拡大しリスクが高まっていたのはかなり以前から明らかなことだった。
多くの市場関係者が危惧していたことだ。
それでも社債を買っていた人がコロナ・ショックで痛手を負った。
市場を正常化し発行体企業を助けるためとはいえ、既存の投資家を救済する必要があるのか。
さらに、FRBの救済策を先読みして社債を買った投資家を儲けさせるべきなのか。
メインストリートがこれに憤るという構図は、2011年の「ウォール街を占拠せよ」デモを思い出させる。

確かに4月9日以降、流動性が枯渇していた社債市場に流動性が戻り、市場の機能が回復したのは事実。
ガンドラック氏は先日、このアナウンスメント効果により目的がすでに達成されていることを指摘した。
実行はせず口先介入にとどめればファイン・プレーだとツイートしていた。

ガンドラック氏が言い続けているのは、いわばとても不人気な正論とでも言うべきもの。
救済が必要であるとしても、そこで起こるモラル・ハザードや便乗は許すべきでないとするものだ。
人々は苦しんでいる時、苦しさゆえにこうした点を見逃そうとしてしまう。

米財務省は今日、次の四半期に3兆ドルの『借金』が必要になると認めた。
(私はもっと『多くなる』と読んでいる。)
もしも再現のない借金が実現可能な解決策なら、そもそもどうして税金なんてものがあるんだ?

仮に米国の債務拡大が一時的なもので済むなら、米財政危機を心配する必要は大きくないのかもしれない。
コロナ・ショックが起こり、社会が財政出動を必要としている以上、一時的な財政出動は肯定されるべきものだろう。
しかし、それは国家が(自国通貨の価値を保ちつつ)無限に借金を増やすことができるという話ではない。
それでも世の中には愚かで、追い込まれた人がいて、そうした奇説を信じ込んでしまうことがあり、それが無視できない広がりを持つことがある。

注意すべきは経済が停滞している足元ではない。
経済回復後だ。
その時もまだ大きな財政赤字が続くなら、民間と公共での資金の奪い合いが起こる。
今の超低金利の米国債に、外国投資家はどれだけ食欲を示すだろう。
基軸通貨という魔法はいつまで続くことができるだろうか。
あるいは、米国もまた日本のように、経済成長から遠ざかることでリスクの顕在化を回避し続けることになるのだろうか。


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