投資

「感情の記憶」を身につけろ:ジェフリー・ガンドラック
2020年11月28日

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、経験の浅い投資家向けにアドバイスを2つ語っている。


まず第一に、特に自分のお金を投資する場合、投資のホライズンを長くすることだ。・・・
そうすれば、いつも結果論による批判を受けることがなくて済む。
長期的な投資のプランを持ったら、そのホライズンを延長し、1つのアイデアに注力すべきだ。

ガンドラック氏が17日のインタビューで、経験の浅い投資家向けのアドバイスを尋ねられ2つアドバイスした。
2つのうちの1つ目が、投資のホライズンを長くもつことだ。
同氏は、機関投資家の場合これが難しいことを認めている。
運用ファンドがアンダーパフォームすれば、投資家が逃げてしまうからだ。
しかし、自身のお金なら話は違ってくる。

私が強くコミットしているインドが有望との説では、インドは中国がやったのと同じように発展し、複数年のホライズン、5年ではなく20-25年のうちに30倍といった上昇をする。
この説を信じるなら、コミットし、(インドが)売られる場面でも恐れてはいけない。
大きく売られる場面では買い増せ。

ガンドラック氏は「1つのアイデア」の例として、自身が以前から話しているインド推しを当てはめている。
同氏は以前も、インド株が今後25-30年で1,000%のリターンを上げると予想している。
今回は、その成否は棚上げし、「1つのアイデア」としてそれに賭けるならばという話をしている。
そうした賭けをするならば、一時の下げに怖気づくことなく、大きな下げで買えと教えている。

ドルコスト平均法などかもしれないが、私はドルコスト平均法はあまりにも機械的すぎて信じていないものの、下がった時に買うように見える。
そして、心配するな。
これが重要な部分だ。

ドルコスト平均法自体は、プロからは評判の悪い手法だ。
行動経済学的な要素を除けば、この手法で実益を得ることはない。
それでも、ガンドラック氏が言及したのは、下がった時に多く買う性質があるからだ。
投資とは本来《Buy low, sell high.》である。
テーマを超長期に採るなら、当面の間《Sell high.》は除外すべきとなる。
ただひたすら《Buy low.》を続けていくことになるのは理詰めの結論なのだ。

ガンドラック氏がもう1つアドバイスしたのは「感情の記憶」を身につけろということ。

私が言いたいのは、本当に酷い市場、ポートフォリオに本当に悪いことが起こるのを経験した時、それを『内面化』しなければいけない。
それが認識できた時、どう感じられるか、恐怖とはどういう感覚か。
そしてそれを記憶しろ。

ガンドラック氏は、コロナ・ショックによる3月下旬の大底について回顧している。
同氏は3月中旬に(個人の勘定で)ショートを続けてきた米国株についてショート・ポジションをカバーしたと明かした。
追って下旬にS&P 500の回復を予想し、ロングを始めた。
同氏によれば、当時「300%の確信」を持っていたのだという。
この確信を与えたのが「感情の記憶」だった。

その日、ビル・アックマンがテレビで叫んでいた。
不況だ、世界の終わりだ・・・
彼がそうしている瞬間、テレビの反応を見て、私は言った。
『これだ。
何が起こっているか感じることができる。
これは2009年3月と同じ。
1994年10月の米国債市場と同じだ。』

ガンドラック氏は長年の経験から「感情の記憶」を習得した。
情報を取り込む時には、「感情の記憶」というレンズによってフィルターをかけているのだという。

「これを身に着けるのは難しい。
でも理解すべきなのは、あなたの感情、恐怖、貪欲もまた人々にとって(理解するのが)とても難しいことだ。
どれだけ多くの人が3月半ばの株式市場でパニックし、逃げ出し、その後に30倍のPER、1929年なみのCAPEレシオ、米史上最高の時価総額対GDP比率、米史上最高の企業債務対GDP比率で買い戻したことか。」

ビル・アックマン氏の悲観論をそのまま受け取った人は底値で売ったことになる。
買い戻すにも余分なお金を使ったことだろう。
情報はそのまま受け取ってはいけない。
必ず補正して受け取らなければいけないのだ。
そして、正しい曲率のレンズを手に入れるには、ある程度は場数・年数・経験が必要になるのかもしれない。

ガンドラック氏は、ここに関して皮肉な現象を紹介している。

投資ビジネスにかかわる1つの問題は、とうとう十分な経験を積んだ時には・・・みんなが引退プランを聞いてくることだ。

もっともこれも心配いらないかもしれない。
機関投資家に引退はあっても、投資家に引退はない。
投資とはルールや節度を守れば一生楽しめる営みだ。


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