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「合理的バブル」でも終わりはある:モハメド・エラリアン
2021年1月11日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、現在の市場を「合理的バブル」と呼び、参加するなら撤退の戦略を用意しておくよう促している。


これは史上最大の(市場と経済の)乖離だ。
私は、市場がここまで遊離するとは想像もしていなかった。
でも、中央銀行がこれほど多量な流動性を供給し、それが市場に流れ込むとも想像していなかった。
だから、合理的バブルという考えが生まれている。

エラリアン氏がFOX Businessで、現状の市場が「合理的バブル」であると評した。
ファンダメンタルズとかけ離れた価格形成が見られるから「バブル」。
しかし、中央銀行による流動性注入という現実によるものだから「合理的」というわけだ。

実際のところ、この「合理的バブル」には参加者を増やす効果があるようだ。
バブルは成長するにつれ素人や無知な投資家の寄与が大きくなる局面がある。
プロが危険を察知して手を緩めるからだ。
優れた投資家は、特にバブルの特異点から距離を置こうとする。
今回のバブルの特異点はどこだろうか。
例えば、ビットコインやテスラ株だろうか。
ところが、例えばビットコインについて少額ながら投資を続けているプロは少なくない。

今回プロがなかなか手を引かないのは、理論的裏付けの存在があるように思われる。
広義の経済には2つのフィッシャーの交換方程式が存在する。
実体経済と金融市場それぞれの方程式だ。
システムに莫大な貨幣が供給された。
しかし、貨幣は実体経済にはほとんど向かわない。
パンデミックならなおさらだ。
結果、金融市場の交換方程式の方に流れ込む。
そして金融市場における取引量と価格を上昇させることになる。
これは、資産価格と貨幣の相対的価値を変化させ、金融投資を有利にする。

こうした理論通りのバブルだからこそ、高名な投資家の多くまでが舟に乗り続けている。
相対的価値が下がるものには乗っていられないと、リスク資産への投資を続ける。
このバブルは(正しいかどうかわからないが一応の)理屈に裏打ちされており、だからプロにも影響を及ぼす。
リスク資産に投資したいわけではないが、無リスク/低リスク資産では討ち死にしかねない。
無リスク/低リスク資産ではリスクなく損をしかねないためだ。

こういう理屈はどれだけ当たっているのだろう。
世の中には今も反対意見の人も少なくない。
現金を持ちたがる人もいて、エラリアン氏もその1人だ。

私がみんなに言っているのは、今何に投資するかは、この合理的バブルをどれだけ心地よく思えるかによるということ。
心地よく思うなら、前に進めばいい。
完全に心地よく感じている人を尊敬するよ。

投資には絶対の正解などないから、投資家ごとに自ら道を選択するしかない。
エラリアン氏は選別を徹底しディフェンシブにいく道を選んだようだ。
だからといって、それが唯一の正解ではない。
ただし、今乗っている波に消える時が来るのなら、良いタイミングで飛び降りる算段も必要だ。

過剰なリスク・テイクが行われている証拠はたくさんあるが、これまでのところそれらは報われている。
このゲームを続けることもできる。
私が強調したいのは、さらなる流動性供給により続けることはできるが、それは人為的なバリュエーションであり、注意が必要ということだ。


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