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「リフレ」の4つのプロセス:ブリッジウォーター
2021年2月6日

ブリッジウォーター・アソシエイツのボブ・プリンス、レイ・ダリオ、グレッグ・ジャンセンの3氏が「2021年の世界見通し」という文書を公表したが、これが題名から想像するイメージととてもかけ離れた内容で面白い。


これらの調査を通して、国が許容できる経済状況を保つのに必要なすべての段階を踏まざるを得なくなるにつれ、すべての金融資産のタイプにおいて繰り返し富の破壊が起こっていることを確認した。

ブリッジウォーターの「見通し」に書かれている。
読めば読むほど、運用会社による見通しというよりは何かの黙示録のように感じられる読み物だ。
同社では、金融政策が行き着いて効かなくなることで、新たなパラダイムが近づいていると考えている。
そこで何が起こるのかを知るため「過去200年間におけるパニックとリフレ、500年間における帝国と準備通貨の興亡」を調べたという。
(いつものダリオ節の根拠となっている調査だ。)
その調査によれば、歴史の中で繰り返され、ブリッジウォーターが「リフレ」と呼ぶプロセスには4つの段階があるのだという。

リフレの過程は、問題の本質や政策策定者の選択によって4つの段階を踏んで進む。
通常は金融刺激策から始まり、それが効かなければ財政刺激策、それが効かなければ債務リストラ、それが効かなければ貨幣リストラが行われる。

後半の2つになると悲鳴を上げる人たちもいたと思われるが、ブリッジウォーターでは「リフレ」のケースの100%でリフレは「機能した」と評価している。
「機能した」「リフレ」がすべての人にとっていいモノでなかったのは次の文言を見ればわかる。

最も興味深いのは、展開した経済環境と採られた政策措置を通して、歴史のある時点で、すべての資産が実質の購買力の50-80%を低下させた点だ。
資産には現金を含み、購買力という観点で見ると、現金は極めて危険な資産だった。

「リフレ」は機能した。
しかし、資産の購買力は50-80%低下した。
おそらく多くの人が悲鳴を上げたのだろう。

ブリッジウォーターは、そういう時代が近づいていると示唆する。
過去の危険な時代との共通点が見られるためだ。

「現金と債券はすでにマイナスの実質利回りによって富を破壊している。
生産のための投資ではなく失われた所得を補い増やすための国債を買う目的で貨幣を増発するのは、国債保有の名目リターンがゼロ近傍にある時、その通貨の価値を減じてしまう。
長期債務サイクルの終盤であることは、富や機会の格差、地政学的対立の勃発と相まって、貨幣制度が崩壊するまで借金・貨幣増発・増税の圧力が継続することを意味する。」

ダリオ氏は常々、瓦解は決まった未来ではないという。
しかし、この説得力のある文章を見る限り、不可避との印象を持つのではないか。
それほどブリッジウォーターに信頼を寄せない人でも、リスク・シナリオとして採用したくなるような断定的な書きぶりだ。

ブリッジウォーターはここで、機能する「リフレ」について、自社の価値観をいくらか覗かせる。

貨幣と信用がどうなるのかの決定は、政府によってなされることになる。
まだ疑問なのは、どれだけ経済の生産性が向上し、どれだけ人々を助けることになるかだ。
私たちはこれを良いことと言っているのではない。
それは、経済・社会における最大の問題に対処するのにどれだけ効果があるかによる。

「リフレ」は機能はするが、それが社会にネットで良い結果を生むかどうかは為政者の選択しだいなのだ。
引き返そうにも、そこには増税や社会サービスの低下など高い壁が待っているから望み薄だ。
好むと好まざるとにかかわらず、前に進まざるをえない可能性が高い。
どのやり方にも問題が多いが、相対的にどれがましかという選択になるのだろう。

ブリッジウォーターは、以上の議論を主に米国に関するものとしている。
その一方で、欧州・日本・英国も似た状況にあると書いている。
この会社は歯に衣を着せない。
その純粋さが、同社の本気を暗示しているようで不気味だ。

「これは概ね極めて米国中心の考え方であり、米ドルや米資本市場に影響を及ぼす。
しかし、欧州は独自のバージョンを持っている。
ある程度、円やポンドのような、超趨勢的な帝国サイクルの下降過程にある国の準備通貨にも同じ状況が存在する。」


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