HSBC:米金利は年末1.35%へ低下

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イールド・カーブがコントロールされていたはずの国債市場で、日銀と市場参加者の綱引きが過熱している。
米国でも金利上昇圧力が高まったとのコンセンサスが形成されつつあるが、HSBCは、国債利回りの決定要因についての市場の伝統的な認識に疑問を呈している。

「債券利回りにかかわる一般的な経験則の多くが間違いであることを示す。」

HSBCのSteven Major氏らのレポートをBloombergが伝えている。
レポートによれば、市場がこれまで利回りの上昇要因と考えていた4点はいずれも根拠にとぼしいという。
この誤解が最近の米金利上昇を招いたとの考えだ。

  • 経済成長
    米国債利回りの変動と米経済のモメンタムの間の相関は小さい。
  • 政府支出
    債務対GDP比率の変化(国債の供給増減の指標)とフォワード・インフレ率の間の相関は小さい。
  • 中央銀行のガイダンス
    最近のFOMC金利予想と先物市場を見る限り、継続的にFOMCの方が高い金利を予想し、下方修正を続けてきた。
    FOMCが市場をガイダンスしてきたというのはむしろ逆だ。
  • インフレ
    予期せぬインフレ変化と名目金利の変化の間の相関は長期的には見られない。
    かわりに、長期的な名目成長率についての投資家の期待が長期利回りを上昇させるという。

HSBCは最近の金利上昇予想(=債券への弱気)がこうした誤解に基づくものとし、債券の弱気相場入りを否定している。
Major氏の2017年末の米10年債利回り予想は従前から変わらず1.35%である。

では、HSBCは何が金利の決定要因と考えているのだろう。
HSBCは

  • 高い債務レベル
  • 人口動態
  • 富の格差

の3要因がより強く効いていると指摘している。
こう言われても少しも喜べないところが日本の悲劇だ。

世界の債券市場が岐路にあるかもしれない。
もしそうなら、米国で言えば35年ぶりの弱気相場入りだ。
そうしたところで金利の決定要因が変化するように見えても不思議ではない。
今は、将来予想が最も難しいタイミングなのだ。
BloombergもHSBCレポートをこう評している:

「Major氏の見方は流れに逆らうものだが、見出した事実は、財政・金融データが長期債利回りに及ぼす影響を過大評価しないよう警告するものだ。」