FTPLをだいなしにするエコノミスト

嶋津洋樹氏がReutersにFTPL擁護のコラムを寄せている。
結論はともかく、論考のレベルの低さが際立っており、少々いじわるになるが紹介しておこう。

勝手に喧嘩を始めるエコノミスト

嶋津氏の主題は、デフレ脱却のための方策の探索は積極的に行うべきとのことのようだ。
その主題にそって、まず仮想敵国を強く批判する。

「FTPLの批判者たちは、ハイパーインフレをもたらす毒薬、あるいは効果を望めない机上の空論などと一刀両断するが、そもそも金融当局や政府がデフレ脱却やその前提となる景気回復を目指し、さまざまな可能性を議論するのは当然のことだ。」

FTPLについては懐疑的な見方が多いのは事実だが、果たして誰が「一刀両断」したのかは明らかでない。
ずいぶん肩に力が入っているなと思いながら読み進めると、どうにもおかしな話になってくる。

「金融政策がゼロ金利の下限に達しているとか、副作用が大きいとかいう主張は、行動することによって生じる責任を回避し、経済の停滞を容認しているのと同じことだろう。
そうした姿勢は敗者に美学を見いだす日本人の心を揺さぶることはあっても、経済的な弱者を救う処方箋にはならない。」

言論を批判するとは某大統領のよう

ゼロ金利制約に達していると言うこと、非伝統的金融政策の副作用が大きいと言うことが悪なのか?
この人はビッグ・ブラザーにでもなったつもりなのだろうか。
さらに、ここで、妙なことにローレンス・サマーズ氏を持ち上げるのである。

「例えば、サマーズ元米財務長官らが主張する『長期停滞論』は、日本では長期的な経済停滞を正当化する理論として紹介されがちだが、本来はむしろ、そうした現実を認識した上で、どのような処方箋が必要かを考えるための問題提起だ。」

ちなみに、サマーズ氏はゼロ金利制約に陥っていると指摘しているし、非伝統的金融政策の副作用も認めている。
ほとんどの人は物事のネガティブな面も認めた上で、最終的に苦渋の判断を下すのである。
ところが、嶋津氏はネガティブな面を認めた段階でアウトだと言うのだ。
その後、コラムはFTPLの内容面に進む。
おそらく、FTPLの中身を知らなければ真偽も判断できない。
仮説の部分については、内容を理解していたとしても、幅を持ってとらえる必要のある内容になっている。

(次ページ: 正しいFTPLの議論のしかた)