PIMCO:アジアで債務が急騰中

米ドル

アジアでの債務レベルの急上昇についてPIMCOが警告している。
年寄ならずとも、1997年のアジア通貨危機を想起する人は多いはずだ。

Bloombergによれば、第3四半期のアジアでのドル建て起債は前年同期比66%増となった。
先進各国での歴史的な超低金利に乗じて、アジアの発行体がドル建てでの資金調達に殺到したもの。
PIMCOは

「アジアでは信用創造こそ進んでいるが、成長率は上がっていない。
アジアでのレバレッジや債務増加が減速するとは予想されない。」

と危ぶんでいる。

Bloombergはアジア太平洋の上場企業のネット金融債務を計算している。
1年前にEBITDAの1.9倍だったのが、現在は3.1倍に急騰したとし、成長予想が2009年以来最低となる中、企業の返済負担が重くなっていると分析する。

なぜ、こうした記事が目を引くのか。
いうまでもなく、1997年に始まったアジア通貨危機とのアナロジーを感じるからだろう。
黒田日銀総裁(前アジア開発銀行総裁)は2014年、アジアでのバブル発生の懸念を公言している。

アジア通貨危機の前も、日米の低金利国からアジアへ莫大な資金が流入していた。
これが「強いドル政策」により逆転する。
今は幸い強いドルは求められていない。
かわりに2013年のバーナンキ・ショックのような形でアジアから資金が流出する可能性がある。

数年前からアジア通貨危機の再来を危惧する声は少なくなかった。
しかし、今ではアジア諸国は1997年よりはるかに強くなった。
その論拠の一つが、外貨建て負債が減ったというものだった。
しかしそれも、ドル建て資金調達の急増によって失われてしまった。

仮に、世界で大きなリスク・オフを呼ぶようなイベントが発生したとすると、新興国通貨が売られドルや円が買われる展開が起こりうる。
ドル高となることで、ドル建て債務の現地通貨建て負担は上昇、それが発行体の首を絞める。
市場に1997年の記憶がなくとも、2013年の記憶があるなら、こうしたことが起こりうる。
それをみんな恐れているのであろう。