突然の新札切り替えで混乱するインド

インド フマーユーン廟

インドのモディ首相は8日夜、ルピーの高額紙幣2種を廃止すると発表した。
1,000ルピー紙幣・500ルピー紙幣の2種を9日午前0時をもって廃止したから、タンス預金の多い人は大混乱に陥った。

手持ちの両紙幣は10日以降12月末までに、金融機関で新たな2,000ルピー紙幣・500ルピー紙幣と交換することになるという。
わずか数時間の事前通知で紙幣を廃止することになった背景をモディ首相は「腐敗とブラック・マネー」一掃のためと説明、国民の協力を請うた。

具体的には何がターゲットなのか:
汚職、不正蓄財、脱税、マネーロンダリング、海外での蓄財、偽札、・・・

こうした地下経済の資金を一旦、表の世界に引きずり出そうという話のようだ。

発表直前のルピー相場は1ルピー=1.58円程度。
発表直後に急落し、その後持ち直している。
廃止の期限後は交換が進むまで紙幣の流通額が極端に減少することになる。
マネー・ストックが急減することになり、金利水準の高い経済においてはすさまじい金融引き締め効果を及ぼすだろう。
インドはいまだに銀行口座を持っていない庶民も多く、家計の消費は現金決済が圧倒的。
結果、一時的な消費の冷え込みが心配されている。

インドの場合、不正を正すことが目的なのだろう。
実は、似たような議論が500ユーロ紙幣についても語られている。
表向きは同じく不正な資金・取引を一掃することとされているが、こちらは額面通り信じる向きは少ない。
マイナス金利政策をとる欧州においては、もう一つの効用を狙っているとの勘ぐりが働く。

量的緩和の限界が買い入れる国債の残量だとすれば、マイナス金利の限界はタンス預金とのトレードオフだ。
いくら日銀当座預金への付利を深掘りしても、金融機関等が現金保有で対抗してきたのでは効果がない。
500ユーロ紙幣の場合は切り替えではなく廃止だけが議論されている。
現金保有の防止のためとの勘ぐりが生まれやすいのである。