白井さゆり氏:異次元緩和失敗の3つのワケ

白井さゆり

2011年から今年3月まで日銀審議委員を務めた白井さゆり慶應義塾大学教授が、20-21日の日銀金融政策決定会合で予定される「総括的な検証」についてコメントした。
現状維持路線がとられ、マイナス金利の深掘りが選択されると予想した。

目標が達成できない3つの理由

Reutersによるインタビューで、白井氏は、量的・質的金融緩和QQE導入から3年以上経っても2%の物価目標が達成できない理由を3点挙げた:

  • 予想インフレ率: 「日銀に対するクレディビリティが低下し、予想インフレ率を引き上げる力が弱まった」
  • 潜在成長率: 「原油価格の下落ではなく、潜在成長率が予想通りに上がらなかったことが経済・物価見通しの下方修正の主因」
  • 需給ギャップ: マイナス金利導入で名目金利は低下したが、予想インフレ率も低下し、実質金利が下がらず、需給ギャップも改善しなかった

QQE導入時から3年弱インサイダーとして見ていた白井氏の指摘だけに、重みが感じられる。

現実路線への変更が必要

こう総括的な検証をした後、白井氏は日銀に注文をつける:

  • 潜在成長率・インフレ率低迷を原油価格下落のせいにせず、潜在成長率の伸び悩みが主因であることを認めるべき。
  • 物価目標を現実的な1%、2%の2段階目標とすべき。
  • マイナス金利深掘りと長期国債買入れ額の調整でイールド・カーブをスティープ化すべき。

金融機関の経営悪化・信用創造の阻害などの問題点が指摘されているイールド・カーブのフラット化。
マイナス金利の導入で、さらにイールド・カーブはぺちゃんこだ。
フラット化の主犯は誰か。
主犯はと言えば、量的緩和であろう。
マイナス金利は、超過準備への付利という短期サイドへの働きかけだ。
マイナス金利導入時にイールド・カーブがフラット化したのは、量的緩和との相乗効果が効いたためだろう。
だから、マイナス金利は深掘りしてよく、変わりに量的緩和を手加減すべきなのだ。

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