白井さゆり氏:日銀テイパリングは来年初

白井さゆり

2011年から今年3月まで日銀審議委員を務めた白井さゆり慶應義塾大学教授が、20-21日に予定される日銀の「総括的な検証」についてコメントした。
白井氏は、物価の基調的な改善が予想される来年初からのマイナス金利深掘り、資産買入れ縮小を予想した。

国債買入れの柔軟化は不適切

白井氏は14日の民放番組で日銀が20-21日に予定している金融政策の「総括的な検証」について語った。
マイナス金利に対し国民・金融機関から批判が高まっており、同政策の効果の検証が求められていると背景を推測した。

白井氏は、物価目標2%達成の経路を振り返る:

  • 2%のインフレ目標にコミットし金融緩和し、インフレ期待を高める
  • 実質金利を下げ、総需要を拡大、需給ギャップを縮小、物価を押し上げる

市場の一部で予想されている、マイナス金利深掘りと国債買入れ額柔軟化という組み合わせについては

「金融政策担当者として、金融市場調節方針として、あいまいなスタンスを出すというのは適切ではない」

と述べ、買入れ額に幅を持たせるという方法を否定した。
白井氏は、イールド・カーブを操作するようなやり方は「わかりにくくなる」と指摘。
むしろ、物価の基調が改善した段階(来年初を予想)で、明確に資産買入れ額を縮小すべきと主張した。

白井氏の言う「あいまいなスタンス」というのはあたらないだろう。
もしも、長期金利ターゲティングに移行する覚悟があるなら、買入れ額をフィックスするのではなく、出来上がりのイールド・カーブをフィックスすることになり、むしろわかりやすい。
実際、異次元緩和開始前までは無担保コール翌日物が誘導目標とされていた。
この誘導のために、オペの金額をフィックスするようなことは行われていなかった。

金利を押し下げるような長期金利ターゲティングは危険だ。
どれだけ国債を買い入れなければいけないかわからず、中央銀行への財務負担が予想・限定できないからだ。
一方、金利をわずかに押し上げるのなら、買入れ額を臨機応変に減額するだけですむ。

マイナス金利主犯説は誤り

マイナス金利の主要な問題となっているイールド・カーブのフラット化については、白井氏は、マイナス金利そのものの影響というよりも、長く資産買入れを続けてきた累積効果との相乗的な作用だと解説した。
買い入れる国債を長期化したこと、日銀保有の国債の償還額が増えつつあることから、マイナス金利がなくても、長期ゾーンの金利は下がりやすい環境にあったと指摘。
そこでマイナス金利政策が導入されたため、その効果が増幅されてしまったのだという。

白井氏は、資産買入れの対象が枯渇し、限界を迎えたところで、金利上昇を抑えるためにマイナス金利を導入すべきだったと考えている。
つまり、マイナス金利深掘り+買入れ額縮小 である。
白井氏がイメージするマイナス金利とは、日本版テイパー・タントラム(2013年夏のバーナンキ・ショック)回避のためのバックアップ策であるようだ。
資産買入れ額縮小のめどを2017年初めと予想した理由は、国債買入れの限界が訪れること、原油価格低下の影響が消え物価の基調が改善することであるとした。

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