白井さゆり教授:家計のインフレ・マインドがデフレを生む

白井さゆり

2011年から今年3月まで日銀審議委員を務めた白井さゆり慶應義塾大学教授が、日欧の金融政策についてコメントした。
ECBはテイパリングを本気で考えているようだとする一方、日銀もテイパリングとマイナス金利深掘りに踏み切る可能性があるとした。

ECBテイパリングは本気

白井氏は、最近ある中央銀行主催の国際会議に出席した際の会話を民放番組で明かした。

「ECBがテイパリングを考えていることがリークされて以来、公然と中央銀行の関係者がテイパリングの可能性を自分から話してくる。
テイパリングだけだと金融緩和の交代と見なされるため、市場が思っているよりも長く資産買入れを継続するような組み合わせもありうるというような話もあった。
マイナス金利の深掘りを支持する声はほとんどなかった。」

ECBがテイパリングに動くのではないかとの噂は、今月上旬Bloombergが報道して明らかになった。
報道直後、債券王ビル・グロス氏がそれに備えてポートフォリオをリバランスしたと表明した他、先週にはレイ・ダリオ氏がテイパリング実施の場合の影響を試算している。

テイパリングについてはドラギECB総裁が火消しに回る一幕があったが、白井氏は「資産買入れの突然の停止はしないと言っただけ」と用心深い。
中央銀行関係者の考え方には大きな変化が見られ、テイパリングも時間の問題かもしれないと予想した。

1次元の政策へ

日銀について白井氏は、9月の「総括的な検証」を「3次元の金融政策の撤回だと理解している」と厳しい。

  • : 80兆円をトーン・ダウン。
  • : 7月にETF買入れを倍増し、副作用も指摘されている。
    9月に発表された新たな政策フレームワークにおける「金融市場調節方針」には金利しか触れられておらず、よほどのことがない限りETFのさらなる増額も考えにくい。

量と質が主役の座を降り、マイナス金利を主役とする「1次元の政策に戻った」のだという。
そして、元インサイダーらしい裏事情を深読みする。

「日銀が11月の『展望レポート』で物価の見通しを下げ、かつ2%の物価目標の達成時期を遅らせる場合、何もしなければ『言ってることとやってることが違う』と思われてしまう。
近いうちに追加緩和をする場合、10年金利は引き下げにくい。
(長期金利ターゲットを採用した理由は)10年金利の低下が副作用をもたらすためだ。」

(次ページ:追加緩和は12月)