浜田宏一教授:本当の世界一流の専門家が言っている

浜田宏一

内閣官房参与 浜田宏一イェール大学教授が、金融・財政政策の過去と未来について語った。
ヘリコプター・マネーの制度化には反対するとしたものの、雇用の落ち込みなどの際には協調的な金融・財政政策の実施が必要と語った。

アベノミクス初期の成果

浜田教授は民放番組に出演し、アベノミクス初期の1-2年は理論どおり、あるいはそれ以上に金融政策が効果を発揮したと成果を強調した。
ゼロ金利で流動性の罠が生じてしまうところを、インフレ期待を生み出すことで克服し、雇用や歳入を大きく改善したと指摘した。

「効果が頭打ちになったことを見て『金融緩和がそもそも間違っていた』というような意見が日本の債券ムラの人たちから聞かれるが、これは国民に対する冒涜だ。
150万人の雇用を生み、歳入を増やしたことを考えれば、大いに評価すべきだ。」

と反リフレ派を批判した。

インフレは目的ではなく手段

一方、浜田教授はリフレの中核をなすインフレ目標に対するスタンスで他のリフレ派と一線を画すとも語っている。

「インフレ目標が達成できないのは、むしろ国民生活にとっていいこと。
デフレだと雇用・生産の面が達成できない。
インフレはあくまでも手段であるという点で他のリフレ派とは異なる。」

もしも、インフレが手段であり、為替を通じた経済回復策であると言っていたなら、反リフレ派はリフレ派をこうも批判しなかったであろう。
多くの反リフレ派がリフレ派を批判したのは、リフレをすればすべてがうまくいき社会が幸福になると喧伝するリフレ派がいたためだろう。
そして、浜田教授も、そうした人たちの理論的支柱として利用されてきたわけだ。

ヘリコプターを飛ばすための追加緩和が必要

浜田教授は9月の日銀による「総括的な検証」を「金融政策が効かなくなりつつあるという自己告白」と称した。
マイナス金利政策については「イールド・カーブは下がってうまくいっている」と評価しつつ、金融機関への新たな課税の側面があると認めている。
黒田総裁は副作用が大きくならないよう細心の注意を払っているものの不安が残っているのは事実と語った。

金融政策の効果が逓減しつつあるとしながらも、金融政策の出番はなくならないと浜田教授は言う。
経済安定化政策の主役が世界的に金融政策から財政政策に変わりつつある。
しかし、財政政策は単独でやると自ら効果を低減させてしまう欠点がある。

「財政で刺激すると資金市場がタイトになり、金利が上がりそうになる。
その時に金利が上がらないように金融政策が出ていかなければいけない。
両者を組み合わせることで、両方の効果が倍化する。
一時的なヘリコプター・マネーをやらないといけない。」

財政政策がクラウディング・アウトを引き起こし、金融を引き締めてしまう危険性を追加緩和で払拭しろとの提案だ。
他方、恒久的なヘリコプター・マネーについては反対の姿勢を示し、あくまで一過性の措置にとどめるべきとした。

「ヘリコプター・マネーを毎回やったら、国民はインフレの危険にさらされるので、制度化はまったく賛成できない。
今のように雇用がかげるような状況では、ヘリコプター・マネーをやらなければいけないんだろう。」

(次ページ: 浜田教授の財務省批判)