榊原英資教授:金融緩和は賞味期限切れ

榊原英資

ミスター円こと榊原英資 青山学院大学教授がBrexitや為替レートについてインタビューで話している。
ドル円は緩やかな円高トレンドにあり、1ドル90円を目指すと予想している。

単独介入は効かず、協調介入は望み薄

為替介入の可能性を尋ねられ、ミスター円は「単独介入は効き目がありません」と日経ビジネスに言い切っている。
ドル円での円安を求めるなら、相手国である米国の合意が必要だが、現水準では合意がとれないという。
実際、G20前の日米財務相会談では、米ルー財務長官から、為替市場に無秩序な動きは見られないとの牽制があった。
G20では、為替安定の重要性が共有されたというが、同時に通貨安競争の回避でも合意している。

榊原教授は、為替介入はやり方が重要と語る。
「介入の規模は、為替市場から見ればそんなに大きな額ではない」といい、「市場が『もう参った』と言うまでやらなければ介入なんて意味はない」と語った。

通貨安政策の効果が逓減

思えば、2000年代に日本が円高に苦しんでいた頃、現在の内閣官房参与 浜田宏一教授らは非不胎化介入を提案した。
非不胎化介入は、そのままの形では実現しなかったが、金融緩和を強化する中での為替介入として実質的に実現した。
仮に、浜田教授が主張したように非不胎化介入の方が不胎化介入より強力な介入手段であるとすれば、もう日本は介入という意味でお腹いっぱいなのかもしれない。
そうだとすれば、ここで「大きな額ではない」円売りドル買いを仕掛けても、効果には疑問が出てくる。

榊原教授はドル円について、「緩やかな円高」傾向にあるとし、「1ドル=100円を突破」、「さらに90円に向かう」と予想している。

教授は、異次元緩和がすでに「賞味期限切れ」になっているという。
市場はそれを見透かした上で、日銀 黒田総裁が追加緩和に踏み切ると予想し、さっさと織り込んでしまった。
期待を裏切れば、反動の恐れが高い。
このため、教授は、年内もう1回の追加緩和をやらざるをえないと予想している。

(次ページ: 趨勢的停滞の中での政策)