榊原英資教授:緩やかな円高ドル安が続く

榊原英資

ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が、緩やかな円高ドル安予想を継続した。
日本の金融緩和が最終段階に来ていることを理由に挙げ、トランプ氏がドル安を求めるであろう点とも合致すると指摘した。

トランプ勝利で大きく上げ下げした為替市場だが、榊原教授はドル円の見通しについて従前の緩やかな円高ドル安予想を維持している。
1ドル90円ならまだしも、100円近辺であれば日本経済に大きな悪影響は及ばないとBloombergで語った。

「ドル円はおそらく円高ドル安の方向に動く。
12月に利上げがあっても、現在の市場トレンドはほとんど変わらないだろう。」

こうした円高予想は、日米金融政策のダイバージェンスを考えると「直観に反する」ように響く。
この点について榊原教授は、市場が異次元緩和の終焉を嗅ぎ取っていると説明した。

「日銀は2013年から強力な金融緩和を進めてきた。
市場は、強力な金融緩和が最終段階に来ていると考えている。
だから円が(120円近辺から)上がってきた。」

トランプ勝利についても、緩やかな円高ドル安傾向を大きく変えることはないと言う。

「トランプ氏の意図はドル安による雇用改善だ。
よって、ゆるやかな円高ドル安が進みやすい。」

また、仮にFRBのが12月に利上げに踏み切ったとしても、すでに織り込み済みである可能性が高く、為替に大きな変化を及ぼさないだろうとした。
Bloombergから円のフェア・バリューを尋ねられると、苦笑いをしながら

「難しい質問だが、100円ならいいところ。
95-105円。
100-110円なら日本政府にとって居心地がいいだろう。」

と返した。
日銀の金融政策については、2%の物価目標は実現不可能と断言した。

「黒田総裁もわかっているが、2%目標を今撤回するべきでないと考えている。
仮に撤回すれば、市場が金融緩和の終了と解釈する恐れがある。」

アベノミクスの第3の矢(構造改革)が機能しているのかとの問いについては、機能していないとしたものの、そもそも構造改革と謳うものの具体的内容が不明確との見方を示した。
政権もマスメディアも内容を明示しないままに議論しているとやり返した。

榊原教授は以前から「日本経済にはもうそれほど強い規制は残っていない」と指摘してきた。
何か探して実行したところでどれほどの効果があるか疑問だとし、絵に描いた餅の成長戦略より実現性の高い「成熟戦略」を模索すべきと説いている。