本音を「教えて!にちぎん」さん

日本銀行

少し前に早稲田大学ファイナンス総合研究所・顧問 野口悠紀雄氏が、日銀のウェブサイトのわずかな変化に言及していた。
そのわずかな変化が、予告・予想通り大きな変化に変化していた。

ウェブページとは「長期金利の決まり方……将来の『予想』が大事」と題されたページだったが、今は予告されていたとおり削除されている。
このページは、長期金利の決定要因を純粋期待仮説の考えから説明したものだった。
この説明は正統的なものではあるが、この考えをとると中央銀行が長期金利を持続的にペッグすることができないとの結論になる。
これは、日銀が9月に導入した長期金利ターゲットの考え方に反する。
そこで、ページを削除し、日銀サイトのFAQ「教えて!にちぎん」の1ページとして差し替えたのだ。

新たなページの主張はこうだ:

  • かつては長期金利はコントロールできないと考えられていた。
  • 量的緩和で長期国債を買ってみたら、意外と大きく利回りを下げることができた。
  • だから、長期金利ターゲットを導入してみた。

淡々を経過を述べたものであり、まったく正しい。
ただし、純粋期待仮説の「ジ」の字も出てこないのは寂しいことだ。

微笑ましいのは新ページのタイトルだ:

かつては、「中央銀行は、短期金利はコントロールできるが、長期金利はコントロールできない」といわれていましたが、金融政策によって長期金利をコントロールすることは可能なのですか?

Q&AのQだから仕方のない面もあるが、87字にも及ぶ長さは目につく。
ちなみに第2位のQは53文字である。

微笑ましいのはQとAがかみ合っていない点だ。
問いは「長期金利をコントロールすることは可能なのですか?」であり、これはYes/Noクエスチョンだ。
しかし、答は「こうした経験も踏まえ・・・導入しました。」とすり替わっている。
ある意味、エコノミスト集団としての日銀の意地を感じる書き方ではないか。

長期金利を一定期間レンジに誘導することは可能なのだろう。
しかし、それが持続可能かといえば大いに疑問だ。
日銀も同じ疑問を持っていて、疑問のある仮説を書く(=Yesと答える)ことを避けたのだろう。