早川英男:消えた開示要求

早川英男

元日銀理事の早川英男氏が、IMFの4条協議報告書について紹介・解説している。
早川氏は他の重要課題とともに、IMFが日銀に事務方の経済予測を発表するよう求めた点に言及している。

スルーされた問題点

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。早川氏は東洋経済への寄稿で、同報告書でIMFから指摘された重要点について解説している。
その中の5点目、日銀に市場とのコミュニケーション改善・フォワードガイダンス活用を求めたとの記載に目が止まった。
実は、同4条協議については、HSCIでも6月の代表団声明の時点で紹介していた。
しかし、この5点目については当時その重要性をまったく看過していた。
早川氏は、この5点目を来週の日銀の「総括的な検証」との関係から重要視している。

まずは、6月の代表団声明を見直そう。
IMFは「政策の信頼性を高めるために、政策枠組みを強化する」よう求めている。
財政政策は政府、金融政策は日銀に対し、信頼性向上に取り組めというものだ。

IMFがスタッフ予測を発表しろと注文

IMF声明にはこうある。

「日銀がコミュニケーションをより明確にし、フォワード・ガイダンスを一層活用すること(スタッフの経済予測を発表し、物価目標を上回る可能性を伝え、拡大したバランス・シートを維持することにコミットするなど)は、金融政策の信頼性を強化し、インフレ期待を高める助けとなり得る。」

なるほど、誰か日本側のインサイダーが知恵をつけないかぎり、出てこないような話が書かれていた。
とりわけ、「スタッフの経済予測を発表」しろというような話は、日本人でも関係者でない限り出てくる発想ではない。
日銀は、いわゆる「展望レポート」において、3か年の「政策委員の大勢見通し」を発表している。
(「大勢見通し」とは、「各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したもの」であり、その幅と中央値が開示されている。)
一方、日銀調査統計局では、金融政策の判断に必要なデータを収集、経済情勢を調査・分析している。
IMFは、この事務方による経済予想を発表しろと言っているのである。

(次ページ: IMFの疑い)