佐々木融氏:長期金利ターゲットが円高圧力に

佐々木融

JP Morganの佐々木融氏が12日の民放番組で、日銀の新たな政策フレームワーク、為替について語った。
新たに導入された長期金利ターゲットは、ソロス・チャートを信じる市場参加者を通じて円高圧力を及ぼすだろうと予想した。

ドル円のゆくえ

佐々木氏によれば、足元の円安ドル高には日米金利差の拡大が影響しているという。
ドル円と高い相関を示している日米10年債金利差が拡大するにつれ、ドル円が上昇していると指摘した。
短期的にはさらに進む可能性を示しつつ、ピークは近く、再び円高方向に向かうと予想している。

「一時的にドル円が105円をつける可能性は十分にあるが、中長期的・年末に向けてはこの辺(105円近辺)がピークで、再びドル安円高方向に向かうだろう。」

佐々木氏は、日銀のイールドカーブ・コントロールがドル円相場に及ぼす影響について、海外の興味深い声を紹介している。

「日本の10年の金利が固定されていると、米金利だけで金利差が動くようになる。
ドル金利の変動に円金利がついていかなくなるため、金利差の変動が大きくなって、ドル円のボラティリティが大きくなるとの見方が多い。

過去長い目で見た経常収支と日米金利差の関係からすると、日米金利差が200ベーシス(2%)ないと、長期的にはドル円100円台が継続できない。」

人民元安をどう見るか

人民元が6年ぶり安値をつけた点については、人民元は単一の反対通貨に対して為替を管理するのではなく、通貨バスケットで管理している点を強調。

「(急落している)対ポンドで人民元が高くなったため、対ドルで弱くすることで調整するということもあるし、ドルが強くなっているということもあるので、そんなに心配はない。
ただ、先例を見ると人民元安がリスク・オフを誘う展開もあったので、一応の警戒は必要だ。

さらなるポンド安により人民元が対ドルで下落する圧力が出てくる場合、市場がそれに反応してしまう可能性に注意すべきという。

怪我の功名

佐々木氏は、日銀の新たな政策フレームワークに対する海外投資家の反応についても解説している。
海外投資家は「日銀の真意を測りかねている」のだという。

「(新たに導入された)イールドカーブ・コントロールと量的緩和が両立しないことは理解しながら、では、金利が下がってきた時に(国債を)買う量を減らして金利を支えるのかどうか。
テイパリングを本当にやるのか疑心暗鬼になっている。
日銀が、(国債買入れで)買う量に限界があって、そこから後退したいというのが真意ならば、うまくやったのかなという感じだ。」

2013年、バーナンキFRB議長(当時)は、テイパリングの可能性に言及しただけで、テイパー・タントラム(バーナンキ・ショック)を招いた。
今の日銀との比較で言えば、FRBの主たる政策手段は(ゼロに貼りついている政策金利を除いて)QE一本だった。
テイパリングは(フロー・ベースの)緩和縮小そのものだった。
現在の日銀はその状況とは異なる。
量だけでなく質と金利という手段を持っている。
そうした違いが、日本でテイパー・タントラムが起こる事態を防いでくれたのかもしれない。

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