佐々木融氏:ハリボテとリアル・ウォーター

佐々木融

JP Morganの佐々木融氏が民放の番組で、政府の経済政策を中身のない見せかけと批判した。
バレバレのレトリックには、「悲しい感じがする」と憐憫の情さえ見せた。

28兆円のハリボテ

佐々木氏は、政府が打ち出した経済対策を「ハリボテ」と酷評した。

「最初10兆円と言われ、20兆円に膨らみ、28兆円に膨らんだ。
この国はそもそもそんなにお金がないので、これがハリボテだというのはわかることだ。」

何がどうハリボテなのか。
いわゆる「真水」が本質論なのに、28兆円という事業規模がアピールされる。
佐々木氏は、この28兆円を「見掛け倒し」と切り捨てた。

「本当に使うのは4兆円ぐらい。
大きく見えても中身はばれている。
悲しい感じがする。」

民間人から悲しまれてしまう政府というのもどうしたものか。
佐々木氏がここまで歯に衣着せずに公言するには背景がある。
最近、ニューヨーク・シドニーに出張した佐々木氏は、そこで質問攻めにあったらしい。

「海外勢は、この経済対策に注目しており、真水でいくら使うのかわかっている。
真水は海外でも”real water”で通じるほどだ。」

出川哲郎さんを彷彿とさせる直訳が浸透しているとは、もはや喜劇の域だ。

ETF買入れはヘリコプター・マネー

先週の日銀金融政策決定会合の決定の中で、佐々木氏はETF買入れ増額に注目する。
年3.3兆円を6兆円に引き上げたETF買入れは小さなものではないとした。
さらに、買入れ金額だけでなく、基本的に買いっぱなしとなる可能性が高い点に注目する。
債券とは異なり償還期限がないから、日銀が積極的に売却しなければ、抱えっぱなしになるのだ。
これは、やや広義なヘリコプター・マネーと言えなくもない。

佐々木氏はETF買入れ増額の効果を認めているが、それがいいことか悪いことかはわからないと留保した。
資産価格はファンダメンタルズに対してつくものであり、介入して押し上げても結局はいつか戻ってくるとの信念からだ。

政策の本末転倒

「日銀は株式市場でヘリコプター・マネーをやり、政府はハリボテを見せる」と佐々木氏は嘆く。
政府・日銀が買う・使うことが目指す方向ではなく、民間が自然とお金を使うようなメカニズムを醸成することが必要だと説く。

  • 国民がどうしたらお金を使うか
  • どこに使いたいと思うか
  • 株式をどうしたら買いたくなるか

が重要だと主張する。

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