佐々木融氏:ドル円は近くピーク・アウト

佐々木融

JP Morganの佐々木融氏が、大統領選後のドル円相場の見通しについて書いている。
ドル円はそう遠くないうちにピーク・アウトし、反落に向かうと見ている。

ドル円は1か月以内に反落へ

佐々木氏はReutersへの寄稿で、ドル円は「7月につけた107円台半ば」から「さらに1円程度上昇」したあたりがピークになるのではと書いている。

「今回のドル円相場の急反発は予想外の動きだったが、ここからの上昇余力は限定的で、今後1カ月以内には反落すると予想している。」

大統領選の開票中トランプ候補の有利が報じられると、市場はリスク・オフの円高ドル安に振れた。
しかし、その後トランプ氏が穏健な勝利宣言を行うと、市場はリスク・オンに転じ、急激な円安・ドル高が進んだ。
佐々木氏は、この反転について、「政策の中で景気にポジティブな側面、つまり減税やインフラ投資の拡大に目を向け、リフレ的な反応をした」と解説している。
佐々木氏はリフレの経路で説明しているが、この部分の説明には2つの可能性があるかもしれない。

  • 財政拡大がインフレ傾向を高め、インフレ上昇が(利上げを含む)金利上昇を連想させた
  • 財政拡大がクラウディング・アウトを連想させ、先回りの実質金利上昇を誘った

いずれにせよ米金利が上昇することで、日米金利差が拡大し、ドルが買われるという連想であったろう。
こうした連想はトレーダーにとって理にかなったものではあるが、今後の持続性となると話は別だ。

ドル高が続きにくい理由

佐々木氏はドル高が続きにくいいくつかのポイントを挙げている。

  • 今回のドル高はドル金利側によるものであるが、今後のドル金利の上げ要因・円金利の下げ要因は限定的
  • 「ドル名目実効レートはすでに今年1月につけたピークに0.2%のところまで迫っており」、1月には「製造業景気指数は48.0とリーマンショック以来の水準まで落ち込んだ」
  • 日本は経常黒字・対外純債権国、米国は経常赤字・対外純負債国であるため、当局の口先介入で円高ドル安に振れやすい
  • トランプ氏が「市場にとっては耳障りの悪い主張」を再開すれば、市場はなぜいったん「リスク回避モードになったのかを思い起こす」

なにより、保護貿易を唱えるトランプ氏は、言うまでもなくドル高を快く思わないはずだ。

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