ロバート・フェルドマン:量か金利かわからない

モルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーのロバート・フェルドマン氏が、日銀が導入したイールドカーブ・コントロールについてコメントしている。
日銀は新たな金融政策のフレームワークについて、より丁寧に詳細を説明すべきと注文した。

フェルドマン氏がBloombergで、日銀の金融政策の問題点を指摘している。
新たな政策フレームワークでは

  • 量の目標: 年80兆円の買入れ目標に固執
  • 金利の目標: イールド・カーブ・コントロール(金利目標)を導入

の両方を併用している。
記者会見では「量を目標にするのか、価格(金利)か」との質問が飛んだが、あいまいなトーンで「共存させていく」という回答だったとし、フェルドマン氏は市場を混乱させていると指摘する。
量にも金利にも(緩やかながら)数値目標を設定しているが、これらの目標は両立しうるのか。
日銀はそれが可能と考えているのか。
市場は考えあぐねている。

フェルドマン氏は、黒田総裁に聞きたいことを尋ねられ

「経済状況が変化していく中で、どのように長期金利を調整していくのか」

と答えている。

「例えば、インフレが1%にまで上昇したら、金利目標は変更するのか。
その関係式を示していく必要がある。」

金融政策とは、経済状況に応じて市場金利を均衡金利の上下に誘導していく営みだ。
前提となる経済状況や均衡金利は常に動く。
これまで日銀から示されているイールド・カーブ・コントロールには、そうした動学的な要素がない。

フェルドマン氏は、市場で観測が強まる量的緩和縮小の懸念にも言及した。
日銀が全容を丁寧に説明できていないため、市場は緩和縮小の可能性を気にし始めている。

「もう一つ市場が混乱しているのは、買入れ額を増やすのか減らすのかを言わないことだ。
・・・
このため、市場では今回の政策変更をテイパリングと受け取る向きもある。」

余談になるが、番組MCのTom Keeneが、アベノミクス初期にインフレが3%に届いたことを示すチャートを流していた。
もちろん、これは消費増税の寄与2%程度を含むものなのだが、そういった説明はなかった。
フェルドマン氏が、財政政策の影響を除いたコア指数では0.5%にしか上昇したことはないと訂正したのは救いだった。

キーン氏はチャートから「アベノミクスが一発屋の戦略である証拠なのではないか」と指摘している。
こうした発言は、アベノミクス・日銀に対する海外勢の期待感の低下を示すものかもしれない。
一発屋との指摘は当たっているかもしれないが、チャートは根拠にはならないだろう。
(一発屋でもなかったかもしれない。)
海外勢がこの程度の認識で日本経済を見ているかもしれないことは注意しないといけない。