ロバート・シラー:日本のCAPEは高い

ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米不動産価格とグローバルな株価についてコメントした。
5月のS&PCase-Shiller住宅価格指数についてコメントする形で語ったもの。

住宅はいい投機にはなりにくい

5月も上昇した住宅価格指数について、シラー教授は、Bloombergで慎重な見方を示した。
通常値上がりする季節であることから、季節調整後では横ばいになると予想されるという。
対前年は見た目ほどには強くないとし、数年間で見れば弱くなっていると指摘した。
トレンド転換が懸念されるが、教授は「まだ上げ続ける可能性もある」と付け加えた。

シラー教授は、長い目で見れば、住宅価格はそれほど上がらないと説明する。
1世紀超に及ぶインフレ調整後の価格上昇率は年率で1%にも満たないという。
足元の住宅価格が横ばいで、緩やかなインフレにある米国では、実質ベースの住宅価格はややマイナス傾向にあることになる。
シラー教授は、家がほしいなら買えばいいが、投機的な目的で買うのはどうか、と疑問を投げかける。

日本株のCAPEは高い

シクリカリーアジャステッドPER(CAPE)について尋ねられると、シラー教授は、日本人にとって意外な指摘をした。

「極めて重要な点は、米国・日本のCAPEが高くなっていること。
しかし、世界を見渡すとさほど高くない。
欧州は高くないし、新興国は比較的低い。
現在、いい株式投資の先がないというわけではない。」

少々意外なのは2点。

  • 筆者もかつてなるべく長い期間のCAPEを試算したことがあったが、それは試算レベル。
    シラー教授が言及するほどのレベルの日本のCAPEデータが存在するとは驚きだ。
  • 日本のCAPEが高いということ。
    多くの日本人は、日本株を割高とは感じていないのではないか。
    割高ではないが、怖くて買えないといったところではないか。
    日本のCAPEが高位であるとすれば、近年、企業収益が急拡大したのが効いているのだろう。
    過年度や予想の利益を用いれば、PERは高く見えない。
    しかし、10年平均の利益を用いれば、PERは高くなる。

大恐慌でも今ほど極端ではなかった

世界中がゼロ金利・マイナス金利という前代未聞の状態に置かれていることを、シラー教授は問題視している。

「1930-40年代の大恐慌の時代でも、今ほど極端ではなかった。
おかしなことに、世界中の中央銀行が、経済を前進させることだけに着目し、金利を市場空前の水準にまで押し下げた。
株式市場や住宅市場を支えてきた。
もう10年続けてきたが、問題は、あとどれだけ続くのかということだ。
私には確かな答えがない。」