ロバート・シラー:崩壊のリスクが高まる

ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、バブル崩壊の可能性について言及した。
株式や不動産の価格指数で有名なシラー教授だが、ここでは債券のバブルについて心配しているようだ。

「高い価格は脆弱さの兆しであり、崩壊のリスクが高まっている。
しかし、すぐやってくるというような雰囲気じゃないんだ。」

シラー教授が英Prospectに語った。
バブルが発生していることを感じ取ることはさほど難しいことではない。
しかし、崩壊の時期を予知するのは至難の業だ。
シラー教授はバブル崩壊のリスクが高まっていることを認めているが、その時期については言葉を濁した。

米国株のCAPEは高い水準にある。
同時に市場金利も市場最低水準であり、債券価格もまた高水準だ。

ロバート・シラー教授によるCAPE

シラー教授の懸念は、どうやら株式より債券の方にあるようだ。
金利上昇は幅広い資産クラスでの価格下落要因となり、債務危機さえ引き起こしかねないからだ。

「もしもこれがバブルなら、債券バブルは2000年・2005年のものを超えてしまった。
だから、再び大きな崩壊が起こる懸念がある。」

このバブルを生んだ一因は各国の金融政策だ。
しかし、最近の中立金利にかかわる議論を見ていると、そうとばかりは言えない。

「この20年間、金利・実質金利が徐々に低下してきたというデータがある。
QEは原因の一つだが、必ずしも最大のものではない。

メディアは中央銀行に目を取られがちだ。
メディアも人間であり、いいストーリーを求め、具体性を望む。
メディアは常にニュースを報じており、一点に集中しがちだ。」

潜在成長率が下がったから金利が低下したのか、金融政策が金利を押し下げたのか。
シラー教授は前者がメイン・ストーリーだと考えているようだ。
一方で、世にはゼロ金利政策が潜在成長率低下を助長したとの指摘も絶えない。

バブルの専門家として意見を求められることに慣れているシラー教授は、過剰なストーリー、過剰な反応にも懸念を示す。

「1857年以降の米社債のトータル・リターン指数のチャートを持っているが、それは一度もクラッシュしていない。」

債券市場への過去最大の出来事は1980年代初めのボルカー・ショックだったとし、それでも債券価格は12-13%の下落にすぎなかった事実を示した。
(ただし、これは指数ベースの下落幅であり、個別銘柄、特にデュレーションによって大きくばらついていたはずだ。)
シラー教授は、利上げの入り口で市場が過剰反応する傾向を心配している。

「中央銀行の政策の歴史では、利上げは少しずつ進む。
だから、中央銀行が方向を変更すると、初めの利上げが大きな重要性を持ってしまう。
市場が利上げサイクルにどう反応するかは予想しがたい。
過去の他の局面とは異なることもあり、市場がクラッシュする可能性もある。」

7年間ゼロ金利近傍が続いたという特殊要因も、予測不可能性を高めている。
FRBが適切にフォワード・ガイダンスを行い、(市場の)「予想通りに利上げが進んだとしても、市場が大きく反応する可能性がある」と心配している。